土地柄生かし新たな特産

 ♪すじのとおったふーき~

 子どもの遊び歌「お弁当箱の歌」にも歌われているフキ。数少ない日本原産の野菜でもあり、私たちにはなじみ深い春の味です。あくが強く、調理にひと手間掛かるため若い人たちには、敬遠されがちですが、一たび口にすれば、「日本人の郷愁を呼び覚まされる」そんな、ほろ苦さと香り漂う旬の野菜です。

 ■ 「99%」が露地栽培 ■

 県内では、JAなす南管内の那珂川町が主力産地で、「馬頭ふき部会」(大金兼男(おおがねかねお)部会長)の44人が生産に励んでおり、同産地のフキとフキノトウは「とちぎ地域ブランド農産物」に認証されています。現在は「愛知早生(わせ)」を主とした早生フキと、秋田の水フキの在来種選抜となる山フキの2種類を生産しています。15年ほど前には、ハウス栽培も試みられていましたが、現在は「99%」が露地栽培となっています。近年の年間出荷量は、フキノトウと合わせて約50トンで、約3万5000パック(1パック50グラム)が、主に宇都宮市や埼玉県に出荷されています。

 部会の発足は25年前。それまでシイタケ栽培を主に手掛けていたという大金会長が、群馬県の生産農家から愛知早生の地下茎を譲り受けたのが、産地としての始まり。「中山間地域で、これといった特産もなかった。日中の日照時間が少ない土地柄をうまく生かそうと思ったんです」と導入した経緯を話してくれました。最盛期は、同部会に120人の生産者がおり、年間で5000万円を出荷した実績もあったそうです。

 ■ 連作障害が悩み ■

 日ごろの手間は、農薬も必要なく、除草作業ぐらい。長い地下茎から芽が吹き出してから、ほぼ1カ月で収穫できるため「さほど苦労はない」そうですが、連作障害が出るため、ほぼ5年の周期で、茎の植え替えをしなければならないのが悩みの種。「1度利用した土地は、数年たっても使えないね」。大金会長も、近隣農家の休耕地などを“間借り”しています。

 ■ 6月まで出荷 ■

 通常、早生フキは長さ50センチ以上で刈り取り、葉をつけたまま5、6本をまとめてラッピング。山フキは長さ30センチほどで収穫し葉の部分を切り落とし10本ほどに束ねて出荷されます。ともに4月25日以降から出荷が始まり、早生は5月末まで、山フキは6月ごろまで味わえるそうです。大金部会長は「フキは日本人の味覚に相性抜群の野菜。春にしか味わえないものです。若い人にもたくさん食べてほしいね」と話していました。

 JAなす南産のフキに関する問い合わせは電話0287・96・6170。

 [写真説明]間もなく収穫期を迎えるJAなす南の早生フキ=那珂川町

 [写真説明]山フキは高さ30センチほどで葉を切り落とし束ねて出荷すると説明する大金部会長

 【安全安心の取り組み】JAなす南「馬頭ふき部会」は、完全無農薬・有機栽培で安全で安心できるフキの生産を心掛けている。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ フキ編

  • 品種 キク科の多年草で、数少ない日本原産の野菜の一つ。雄株、雌株があり黄色い花は雄株、白いのが雌株。主な品種に「愛知早稲」や「水フキ」がある。

  • 選び方 鮮やかな緑色をした葉と茎は明るい黄緑色で、太さは親指と同じぐらいのものがお薦め。

  • 巨大フキ 北海道のラワンブキや、秋田フキは高さ約2メートルにまで伸びる。秋田フキには江戸時代、秋田藩の佐竹藩主が「傘の代わりにもなるフキがある」と江戸で自慢したところ、他藩主から信じてもらえなかったところを領民が巨大フキを江戸に運び藩主の窮地を救った逸話もある。

  • コロポックル アイヌ伝説に登場する小びと「コロポックル」は、「フキの葉の下に住む人の意」(「広辞苑」より)で、屋根をフキの葉でふいた縦穴に住んでいたという伝説が残っている。


 コラムオアシス 人生の出会い 忘れ得ぬ2つの“財産”

 地域によっては桜の花も散り始めた4月10日、政府・与党は平成21年度補正予算案に盛り込む追加経済対策を決定、農林水産関係は1兆円超と過去最大規模となりました。なかでも担い手支援や生産調整対策にかなりの額が割り当てられており、非常に喜ばしいことです。これらが農業の発展に繋がり、さらには日本経済の再生へと繋がっていくことを期待します。ただし、厳しい農業の現状を思うと、この支援が政局の道具のような一過性のものではなく、継続的なものであることを希望して止みません。

 ところで、桜の季節には出会いと別れが付き物ですが、私には大きな出会いが2度ありました。1つ目は高校生の時でした。父の入院で農繁期には学校を休む日が多くなり、3年生3学期の終業式当日、担任の増渕先生から、卒業式の前日まで登校するように言われました。わずかの間でしたが、畜産科だった私は、乳牛の搾乳や畜舎の清掃そして勉強にも励み、無事卒業することができました。そして2つ目は宇都宮農協でのことでした。平成11年に常勤理事となりましたが、当時の松島組合長には、ご指導の他、悩み事を聞いて頂くなど大きな励みとなりました。このお2人との出会いは私の財産であり、これらの出会い無くして今の私は無かったと思います。

 たった一度の人生、出会いは大切にしたいものです。

(JA栃木中央会会長 伊澤茂)

◇◆◇ 読者の声 ◇◆◇ ~2月号から~

 【農政特集「やっぱり国産農畜産物推進運動」を読んで】

・「みんなのよい食プロジェクト」の活動を知り、感動しました。「消費者としての自覚を持って、協力しなければ」との認識を深めた次第です。(70歳、女性)

・食糧自給率40%には考えさせられました。自給率を正常にすることは結果として心も体も健康な生活を取り戻せることになると思います。(70歳、男性)

 【レシピについて】

 ・毎回レシピを楽しみにしています。ニラは大好きですが、今回の“ニラ和風ピザ”には「こんな食べ方もあるのだ」とビックリ!早速作ってみます。(51歳、女性)