愛称を商標登録 PRに力

 さくっとした柔らかな歯ごたえ、口の中に広がる甘み…。グリーンアスパラガス(アスパラ)は春の芽もの野菜の代表格。栃木県では県北や県央地域での栽培が盛んですが、中でもJAうつのみやグリーンアスパラガス専門部会(小林光一専門部会長)の活動が注目されています。

 管内の主産地、上三川町はもともとカンピョウが特産でした。しかし、中国産に押され単価が下落するようになり、新たな品目としてアスパラが浮上。1990年、たった3人による栽培がスタートしました。

 先進地視察などで研究を重ねたほか、行政機関の後押しもあって技術的に向上。生産者も徐々に増え、現在の部員数は約65人となりました。生産面積は16ヘクタール、出荷量は153トンに上ります(2007年産)。

 ■ 土造りにこだわり ■

 アスパラは1株植えて10年間収穫できる「長期獲り」なのが特徴。同JA園芸課は「植えたままになるため、土造りが特に重要。苗をビニールハウスに植え付ける際、堆肥を大量にまきます」と説明します。

 3年目を迎えると、いよいよ収穫が本格化します。同JAの出荷シーズンは1月から10月までで、3、4月と7、8月の2回がピーク。今なら芽が出てから3~4日で成長するそうで、約30センチになった時点で、はさみでカットします。

 収穫する一方で、1株当たり4、5本を残すのもポイントです。「そのまま育てて葉を生い茂らせ、根に栄養分を送って翌年に備えます」と同園芸課。

 冬になると枯れた葉や茎を刈り取り、地上部をバーナーで焼却。病原菌や害虫の卵、雑草の種子などを焼くことで、農薬散布の回数を減らします。小林部会長は「土壌分析も毎年行い、バランスの取れた施肥設計を行っています。だから、甘く軟らかい、味のよいアスパラに育ちます」と胸を張ります。

 ■ 東京でも高値取引 ■

 3年前には同JA内に共同選果施設(パッケージセンター)を整備し、集荷と選別を一元化しました。生産者ごとの格差が解消され、品質向上と規格統一を図ることができました。

 「茎が太くおいしいため、品質面では折り紙付き。レストランなど業務向けでどんどん欲しがられています」(同JA園芸課)。地元や京浜市場では1キロ当たり1000円以上という高値で取引されています。

 一層の知名度アップを目指し、昨年11月、同JA産の愛称「アスパラリン」を商標登録。先月25日には「アスパラダイス」と称したイベントを開催したほか、オリジナルの包装資材に愛称を明記するようにしました。

 ここ数年、同専門部会で若い生産者が急増したそうです。小林部会長は「アスパラリンの売り出しに弾みがつく。安全安心に気を遣い、消費者に喜ばれるアスパラをつくりたい」と意欲を燃やしています。

【安全安心の取り組み】 JAうつのみやグリーンアスパラガス専門部では、全員が環境に優しい栽培技術を実践する「エコファーマー」に認定されています。定期的に栽培講習会を開き、農薬の使用方法の確認や栽培管理を徹底し、減農薬・減化学肥料栽培を心掛けています。

 [写真説明]ハウス内で育つグリーンアスパラガス。小林部会長は「今ごろの時期は1日に10センチぐらい伸びますよ」と話す=上三川町

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ 地中で育てば“ホワイト”に アスパラ編

  •  歴史 南ヨーロッパで野生種がみられる多年草。紀元前後には既に栽培の記録があり、ローマ帝国時代の園芸家が栽培法について記述している。日本には江戸時代に観賞用として伝えられたという。本格的な栽培は明治時代に再導入されて以降、北海道で始まった。

  • 名前の由来 アスパラガスの語源は、「たくさん分かれる」「激しく裂ける」という意味のギリシャ語とされる。由来通り、そのまま育てるとたくさん枝分かれしたものに成長する。新陳代謝を促すアミノ酸の一種、アスパラギン酸はアスパラガスに多量に含まれることが命名の由来となっている。

  • 緑と白 色の違いは栽培方法で、品種は同じ。ホワイトアスパラガスは、若芽に光が当たらないように、高さ25センチほど盛り土をした中で育て、芽が地上に出ないうちに根元から切り取る。ほとんどが缶詰め用に加工される。一方、グリーンアスパラガスは、若芽を地上でそのまま伸ばし、日光にたくさん当てて育てたもの。栄養成分も大きく異なり、グリーンアスパラはカロチン、ルチン、ビタミンBなどが豊富に含まれる。ほかにも紫アスパラ、ミニアスパラなどがある。

  •  選び方と保存法 緑色が濃く、太さが均一で穂先が締まったものがよい。保存するときは、水分が蒸発しないようにラップなどに包んで冷蔵庫で立て掛ける。生では3日ぐらいしか保存できないが、ゆでれば1カ月ぐらい冷凍保存できる。


 コラムオアシス 自給率の向上 国民全体で取り組もう

 食料を生産し、農業を守る農家は苗代や田んぼの耕起に追われ、春本番、田植えの時期を迎えようとしています。

 1945年、敗戦を迎え、食べ物も少なくご飯は米・麦に里芋やサツマ芋を炊き込んで食べました。本当に厳しい時代であり、今ではとても考えられません。当時は、どんな食べ物でも「もったいないから残さずきれいに食べるんだよ」とよく言われました。

 一方、国内では畑や山を開田し、米の一俵増産運動に取り組んできました。そして、70年には米が余る時代となり、米の生産調整が37年間も続いています。

 日本の自給率は39%で食料の61%を外国に依存しています。このままで良いのか? 残念です。つい最近、中国製冷凍餃子中毒事件をはじめとして、食の安全・安心への関心が高まってきています。また地球温暖化により砂漠化が進み、食と農をめぐる環境変化が急速に世界的規模で進んでいます。自国の食料自給率を守るため輸出規制をしている国もあります。

 原油をはじめ飼料・肥料・生産資材の高騰の中、農家は生産面で非常に厳しい状況ですが、常に安心・安全をモットーに農畜産物を消費者に提供しています。是非、生産者・消費者が一体となり、国民全体で食料を大事にし、自給率向上に取り組もうではありませんか。

(JA栃木中央会会長 伊澤茂)