豆腐、煮豆など加工品に

 豆腐、しょうゆ、みそ、豆乳、モヤシ、枝豆…。さまざまな食材や加工品として大活躍し、日本型食生活に欠かせない大豆。小さな粒には栄養がぎゅっと詰まり、「畑の肉」とも称されています。

 栃木県内では土地利用型農業の基幹作物としての定着や国内自給率の向上のため、生産振興が図られてきました。県生産振興課によると、2007年産における県内の作付面積は4880ヘクタールで全国9位、関東では最多となりました。県内では大田原市が845ヘクタールで最も多く、次いで宇都宮市、小山市、那須塩原市と続きます。

 県内最多の作付けを誇るJAなすの。米の転作物として大豆、麦の作付けを指導し、大豆部会には428人が所属。品種はタチナガハが100%を占め、本年度の作付面積は合計950ヘクタールを計画しています。

 大豆部会長を務める森隆道(もりたかみち)さんは「大豆作りは土づくり、有機肥料がポイント」と指摘します。大豆は連作障害が出やすく、2年目以降の圃場(ほじょう)は収量が大幅に落ちるそうです。森さんは「少しでもカバーするために、もみ殻入りの鶏ふんを堆肥(たいひ)として大量にまく」と話します。

 ■ 重要な排水対策 ■ 

 有機肥料の投入後、種をまくのは6月下旬から7月にかけて。この発芽の時期が梅雨に当たるため、排水対策も重要となります。

 同JA営農経済部米麦課は「大豆の播種(はしゅ)時期は雨が多く、品質低下を招きやすい。あらかじめ圃場に排水溝を掘るなど、水が抜けやすいように準備します」と説明。大雨にたたられた場合、種のまき直しを行うこともあるそうです。

 日ごろの生育管理も大切で、追肥、防除、中耕、培土、除草は欠かせません。特に除草と倒伏防止のために行う中耕・培土は7月ごろの作業となり、「炎天下の作業だからつらい」と森さん。

 ■ 高い上位等級率 ■

 10月下旬から11月にかけて収穫された大豆は、同JAの共同調製施設へ。10年前、全国に先駆けて導入した色彩選別機で、品質の悪い大豆を除去しており、同課は「上位等級比率は高く、なすの産の品質は県内でナンバーワン」と胸を張ります。

 この後、大豆は全農を通じ、全国の卸会社や加工品メーカーへ流れます。ほとんどは豆腐や煮豆などの加工品として利用されるとか。普段、家庭で何気なく使っている国産大豆の加工品に、栃木県産の大豆が使われているかもしれませんね。

【安全安心の取り組み】 JAなすの大豆部会は、生産資材の使用基準を徹底管理しているほか、生産履歴(トレーサビリティー)を義務付け、安心・安全を心掛けている。

 [写真説明 1]コンバインで大豆を刈り取る森さん。今年は好天が続いたため、「例年よりも大粒」という=大田原市

 [写真説明 2]殻の中には栄養たっぷりの大豆が詰まる

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ 大豆編

  • 由来 原産地は中国で、日本では弥生時代中期に栽培されていたと考えられる。文献で最古に登場するのは古事記の説話。奈良時代にみそやしょうゆなど加工品と製法が伝えられた。

  • 加工品 代表格はしょうゆ、納豆、豆腐。豆腐をさらに加工したのが油揚げや厚揚げ、がんもどき、高野豆腐など。作る途中でできるのが豆乳になり、豆乳からは湯葉ができる。国産大豆の主要な用途は多い順に豆腐、煮豆・総菜、納豆、みそ・しょうゆとなっている。

  • 品種 産地品種銘柄だけでも110種類、生産量が少ない品種も含めると400種を超えるとされる。黄色の大豆が最も多く栽培されているが、丹波の黒大豆、岡山の紅大豆、東北地方の青大豆などもある。


 コラムオアシス 日本の食料問題 問われる「そのありよう」

 諸外国に比べて低価格、しかも高品質な農産物を国内で生産することは大変困難なことです。これほど経済が発展した中での人件費、そして農地が狭く高低差がある現状は、対外的コスト競争にとって障害として際立っているものです。

 当然これからも日本農業はまだまだコスト低減に向けて、絶えず努力し続けなければならないということは言うまでもありません(保護政策のみを求めても理解は得られない)。このような条件の中で広く県民の皆さま方には、自給率向上のために理解を賜りたいと思います。

 「再生産・採算」の取れる価格設定の中から休耕田や耕作放棄地での農業生産を再開させて、大量に輸入している飼料などに充当する。どうしてもこの際には負担が重くなるので、県民・国民の賢明なる判断をいただかなければならない。

 これにより日本全国土がよみがえる。バランスの取れた日本経済全体の発展の中で、諸外国との共存共栄が図られる日本農業でなければならない。そうでなければ、結果的に末永い発展は望めません。

 こうして展望の開けた農業には、必ず若い力が参入してくれます。そうなれば、高齢化や担い手不足は当然ながらありません。この問題で今問われているのは、県民、または国民挙げての「そのありよう」ではないでしょうか。皆さんの、日本農業への応援を切にお願い申し上げます。

(JA足利代表理事組合長 増田泰男)

 ◇◆◇ 読者の声 ◇◆◇ ~9月号~

 【農家の苦労理解】(農政特集「コスト高騰」を読んで)こういう紙面を読むことがないと、農家の苦労が分からないなと思いました。(44歳、女性)

 【地場産の積極購入を】生産するために必要な経費の高騰により、生産者が厳しい状況にあるということを知り、われわれ消費者は輸入食品に頼らず、地場生産品を積極的に購入する必要性を感じました。

(64歳、男性)

 【農業生産者に感謝】原油・肥料・飼料などの高騰によって農業生産者も赤字経営で大変なことが理解できます。食事をする度に感謝を持って頂きたいと思います。(57歳、女性)

 【消費者も妥協必要】消費者としては安い商品の方がありがたいですが、消費者も妥協しないといけない時代ですね。(33歳、女性)