真心提供にファン定着

 塩谷町の農村レストラン「尚仁」は、JAしおのやの農産物直売所に併設されています。「尚仁沢湧水」へ至る道沿いにあり、2003年4月にオープンしました。8人の農家のお母さんたちが組合をつくって運営。メニューはそばとおにぎりですが、名水を汲んだ帰りに立ち寄るリピーターがたくさんいます。

■ 客との交流が支え ■

 「矢板に知り合いがいましてね。月に一度くらい来てますよ」と、東京都江戸川区に住む森合喜八郎さん(68)、裕子さん(61)夫婦。「そばがとてもおいしい。食事の後は直売所でお米や野菜を買って帰ります」と笑顔で話します。

 組合長の田代ツヤさん(68)は、実演コーナーでそば打ちの様子を披露しています。「そばは天気などで微妙に変わり、本当に難しい。でも、お客さんがおいしいねって言ってくれると疲れも吹き飛びます」。接客に当たる副組合長の石下直子さん(53)は「みんな経営は素人。お客さまの意見を聞きながら改善してきました。お客さまとの交流が支えです」とにっこり。

■ 主婦たちが店運営 ■

 佐野市の国道50号沿いの「アグリタウン花の停車場」は、JA安佐出資の会社が経営する農業の複合施設です。イチゴ狩り施設や農産物直売所、花木センターなどが軒を連ね、その中に農村レストラン「なのはな」があります。6月でオープン1周年を迎えました。

 こちらも運営の主体は4人のお母さんたち。県内有数のそばどころのこの地域では、家庭の主婦の多くがそばを打ちます。その経験がお店に生きました。「でも、お客さまに提供するとなれば話は別。半年間くらい、必死で勉強しました」と店長の葛貫郁子さん(50)は振り返ります。そのかいあってファンも定着しました。「ここのおそばはコシがあってとてもおいしい。母と食べに来ておいしかったので、今回は主人と来ました」と佐野市内に住む女性は話します。

 「季節の野菜の煮物といった手作りの一品を添えるなどの工夫もしています」と葛貫さん。県内には現在、65カ所の農村レストランがあり、工夫を凝らし独自の味を提供していますが、真心が「隠し味」、という点は共通しているようです。

[写真説明]お客さんとのふれあいも和やかな農村レストラン=塩谷町の「尚仁」


 コラムオアシス 「新たな地域づくり」

 とちぎの農村では、各地で、地場の新鮮な農産物を販売する「農産物直売所」、地場の食材を使った料理を提供する「農村レストラン」、そば打ち、みそ作りなどができる「加工体験施設」、農村体験ができる「都市農村交流施設」、自然環境を活かした「農村公園」等の整備が進んでいる。

 私も休日など、地方に出かけた時、直売所やレストランをよく利用する。手打ちそばを食することが多いが、農村レストランならではの本物の味である。

 豊かな自然の中で、新鮮な農産物にふれ、地元の人達とのあたたかな心の交流をとおしていやされ、リフレッシュされる。

 これまで農村は、地域のつながりを中心に営まれてきたが、時代とともに変化しており、新たな地域作りの意義は大きなものがある。また農業者にとっても、消費者とのふれあいは、やりがいにつながるものである。

 是非、都市住民や、消費者のみなさんには、直接農村に出かけていただいて、いろいろな交流を深めてもらいたいと思う。

(JAバンク栃木信連代表理事理事長 石川健一)