栃木県はサトイモの産地

 

 これからの季節、煮物やけんちん汁、そしてお正月のおせち料理に欠かせない食材といえば、ねっとりした食感が魅力のサトイモです。全国出荷量6位を誇る栃木県(☆)。今、那須南地域のサトイモ農家が組織するJAなす南里芋部会(部会員20人)では、“幻のサトイモ”といわれる「善光寺(※1)」をはじめ、「土垂れ(どだれ)」「石川早生(いしかわわせ)」などの出荷が行われています。

 同部会の鈴木富貴雄さんは、定年を機にサトイモ栽培を開始。毎年冬に行われるJAなす南里芋部会の共進会で最優秀賞を獲得する第一人者です。約30㌃のほ場で「善光寺」と「土垂れ」を中心に、「石川早生」「女早生(おんなわせ)」「八つ頭(やつがしら)」を栽培しています。かつては30軒ほどの農家がサトイモを栽培していましたが高齢化などで減少、同JAでは、サトイモやネギなどの生産者を増やそうと、ほ場見学会や新規就農者向けの研修「南那須農業アカデミー」などを開催。部会員数も回復してきました。

新たな試みとこだわり

 サトイモは3月に種芋を植え、10〜12月にかけて収穫・出荷します。作業が稲作と重ならず栽培しやすい作物といわれていますが、土づくりや夏場の乾燥には気をつかいます。また、連作障害(※2)を起こしやすいので毎年場所を変えて栽培します。なかでも鈴木さんが苦労するのが収穫作業。新しい耕運機の導入でだいぶ楽になりましたが、親芋の周りに子芋・孫芋がつくので掘り起こして分けるのが重労働でした。

 鈴木さんのほ場では、新しい技術を積極的に取り入れています。今年からは、土を耕しながら畝を作り、その流れでマルチシートまで張れる耕運機を導入。新しい肥料を使い作業の効率化を図った結果、収量も増えました。鈴木さんは「今年は雨もよく降っておいしいサトイモができました」と胸を張ります。

 「これからも皆さんに喜んで食べていただけるようなサトイモを作り続けたい」と話す鈴木さん。JAなす南のサトイモは、県内外のスーパーのほか、那須烏山市内の直売所でも販売中。鈴木さんはおいしさへのこだわりから、あえて土付きの状態で並べているそうです。おいしいサトイモの見分け方は、丸くて大きいもの。「善光寺」はけんちん汁やお煮しめによく合うといいます。幻のサトイモ、もし見かけたらぜひ手に取ってみてください。

 記事に関するお問い合わせは、JAなす南 園芸販売課(☎0287・96・6170)。

☆【全国出荷量6位】
 出典/農林水産省 令和2年産都道府県別の作付面積、10㌃当たり収量、収穫量及び出荷量より。

雑学事典

【サトイモ 善光寺】(※1) 長野県にある善光寺の名を冠するサトイモですが、元々は栃木県の一部でしか栽培されておらず「幻のサトイモ」といわれていました。丸系で中生系の品種でねっとりとした食感が特徴。

【連作障害】(※2) 同じ作物(同じ科の野菜)を同じほ場で毎年作ることで生育不良となり、収穫量が落ちてしまうこと。