ほろ苦さと甘さが魅力の旬のかき菜
ほろ苦さと甘さが魅力の旬のかき菜

定年を機に 祖母から引き継ぎ就農

 日本最古の歌集「万葉集」にも「佐野の茎立(くくたち)」として詠まれている「かき菜」は、古くから春を呼ぶ作物として県南地域で盛んに栽培されてきました。同じくアブラナ科の小松菜と混同されがちですが、カロテンやビタミンC、カルシウム、鉄分などを豊富に含み、野菜の少ない端境期の栄養源として食べられてきた作物です。そのかき菜の収穫が今、最盛期を迎えています。

斎川 英夫さん
斎川 英夫さん

 今回、紹介するのはJA佐野かき菜部会に所属する斎川英夫さん。祖父母の代からかき菜や水稲を栽培する農家でしたが、斎川さんは65歳まで会社員として勤務。農業経験はほとんどありませんでしたが、定年を機に祖母からかき菜栽培を引き継ぎ、就農しました。現在、自宅周辺の3カ所のほ場(約25㌃)で、妻とともにJA佐野のブランド品種「佐野のそだち菜 晩生」を栽培しています。かき菜の旬は3月から4月にかけての春先。冬の寒さや霜に当たることで甘味が増すため、斎川さんも「この時期のかき菜が一番おいしいです」と太鼓判を押します。

旬ならではのおいしさを伝えたい

 斎川さんのかき菜栽培のこだわりは栽培方法です。種子を畑に直まきする方法もありますが、斎川さん宅では、苗を育ててから少し伸びてきた段階で間隔を空けて植え直しています。収穫も、主茎とその脇から伸びる側枝の若芽を、生育具合を見ながら一本ずつ手作業で折っていきます。腰をかがめる作業なので大変ですが、「おいしいかき菜には代えられません」と話します。

 以前から、かき菜栽培が盛んなJA佐野では、1968年に部会を設立。2006年には独自ブランド「佐野のそだち菜」を商標登録し、野生種と交配しないように純系種子を管理し、採種作業を行っています。

生育を見極め丁寧に手作業で収穫
生育を見極め丁寧に手作業で収穫

 斎川さんのかき菜は、JA佐野を通じて宇都宮や東京・大田市場、新潟方面に出荷されています。かき菜のおいしい食べ方はいくつかありますが、斎川さん宅では昔から、ゆでたかき菜をごま油で炒め、さつま揚げなどを加え、しょうゆなどで軽く味付けするのが定番だそうです。斎川さんは、「伝統野菜のかき菜とその味や魅力を、これからも多くの人に知ってもらいたい」と抱負を語ってくれました。

 今まさに旬を迎えたかき菜。その味わいを通じて春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。

 お問い合わせはJA佐野 園芸課☎0283・23・9992。