もぎたての旬を食べ比べ

 大自然の恵みを実りあるものにする仕事は、時として自然との闘いを余儀なくされることもあります。8日、本州に上陸した台風18号は、日本列島を縦断し大きな被害をもたらしました。台風によって毎回のように被害を受けるのが、リンゴの生産農家。今回の台風も、長野県のリンゴ農家を直撃、同県南部だけでも被害額は約1億7000万円に上ったそうです。

 ■5つの「りんご団地」■

 県内で最大のリンゴ生産を誇る矢板の「りんご団地」(長井、中、平野、塩田、農場)でも、生産農家は台風発生から戦々恐々とした日々を送りました。JAしおのや矢板果樹部会の手塚龍二部会長(57)=矢板市長井=は「天気予報を見るたびにピリピリしていました。あれは確か平成2年でしたか? 大被害を被った年の事が思い出されましたからね」と。今回は幸いに、手塚部会長の農園では50~60個の落下にとどまりました。他部会員の農園にも大きな被害はなかったようで、リンゴ狩りの本格シーズンを無事迎えられたようです。

 矢板のリンゴ生産は、戦後間もないころから始まりました。現在、部会員は22人、「つがる」「秋映」「スターキング」「ジョナゴールド」「紅玉」「陽光」「王林」「ふじ」(生育順)などを生産。市場出荷は一切せず、完熟したリンゴを“庭先販売”しています。ほとんどの農園が旬を迎えた10月上旬から11月末までリンゴ狩りに対応しており、贈答品などとして全国発送も受け付けています。また、部会共同で生産している「完熟林檎(りんご)ジュース」も評判を呼んでいます。

 ■15品種扱う農園も■

 部会長の手塚さんは、父・敏雄さんから引き継ぎ30年以上リンゴ園を営んでいます。現在は約60アールを作付けし、13品種のリンゴを栽培。「とにかく品種は増えました。矢板でも多い農園は15品種以上扱っています。特に10月は旬を迎える品種が多く、迷ってしまうお客さんもいますが、もぎたてを試食してもらえれば味の違いが分かると思います」と、リンゴ狩り体験を薦めます。

 今年は、9月の降雨が少なかったため味は期待できるそうです。ある部会員が9月に、リンゴの王様と呼ばれる「ふじ」の糖度を計ったところ既に13度あったそうで「この調子なら最低でも15度、物によっては18度ぐらいの糖度になるでしょう。味にはみな自信を持っています。ぜひ矢板のリンゴをご賞味いただきたいですね」と手塚部会長はアピールします。矢板のリンゴに関する問い合わせは、JAしおのや矢板果樹部会事務局電話0287・43・7057。

 [写真説明]台風一過の青空の下、リンゴ狩りを楽しむ家族連れ。リンゴは10月下旬に旬を迎える「新世界」=矢板市長井、渡辺幸史さんの「渡辺りんご園」

 [写真説明]果樹部会共同で製造している「完熟林檎ジュース」

 【安全安心の取り組み】 JAしおのや矢板果樹部会は全部会員が農薬の使用回数を減らす低農薬栽培に取り組んでおり、生産履歴の記帳運動を実施し安全・安心な農作物生産に心掛けている。

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • 選び方 熟したリンゴは青みが抜け、下の軸の周りが黄色くなってくる。果皮に張りがあり手に持ったとき重みがあるものを選ぶ。

  • 10月以降の品種、食べごろと特徴

  • ・スターキング(10月初旬) 蜜が入り甘酸香りの調和が良い。あまり日持ちはしない。

  • ・ジョナゴールド(10月初旬) 適当な酸味があり、味がきわめて濃厚。

  • ・紅玉(10月中旬) 完熟すると密が入り酸味があり味も濃厚。料理や加工用にもよく使われる。

  • ・陽光(10月中旬) 酸味は少なめ。形も色付きも良くきれいなリンゴ。

  • ・王林(10月中旬) 甘味十分な青リンゴ。さわやかな味。

  • ・ふじ(11月初旬) 甘酸香りの調和が絶妙で、リンゴの「王様」とも呼ばれる。長期保存も可能。


 コラムオアシス 新たな3つの取り組み 地域のメリット最優先に

 農業は、大変厳しい時代に直面しています。WTO農業交渉・日米FTAを始め、世界規模の食糧問題、少子高齢化の急速な進展、地域経済の格差拡大、農村部の疲弊などにより、農業経営を取り巻く環境は悪化の道をたどっています。また、食の安全性に関する問題など、我が国の農業に対する国民の期待関心が高まっているのも事実です。このような中で「JAおやま」は、本年度新たな3つの取り組みを実施しています。

 1つめは、運営する農産物直売所6店舗のお買上げレシートの合計金額の0・1%を、管内の小学校に図書券として還元する「食育」と「地産地消」を合わせた活動を始めました。地元農畜産物の消費拡大と小学校児童に食への関心をもってもらうため、食育につながる教材の購入費の一部にあててもらおうと考えています。2つめは、小学校入学前の子どもを持つ親を対象に、子育て支援型定期積金「すこやか」の取り扱いを始めました。店頭金利表示の最高10倍の金利を適用し、少子高齢化が大きな社会問題となっている中、JAが子育てを応援する金融商品を作りました。3つめは、組合員の経営安定に向け、「農業危機対応総合対策」として、平成21年度中に組合員が購入する肥料や飼料、A重油に対し、総額3500万円の助成措置を実施します。

 今後も役職員が一丸となり、知恵を出し合い「組合員・地域住民のメリット」に対して「JAにできること」「JAがやらねばならないこと」を常に考え、オリジナルの取り組みにより社会的貢献を積極的に実施していきたいと考えています。

(JAおやま代表理事組合長鈴木●代志)※●は喜の士が土

読者の声 ~8月の紙面から~

【無駄にできないかんぴょう】

・国内生産シェア98%のかんぴょうが県内で作付けされて300年になるという。夜中の1時2時からかんぴょうむきをして、1本1本仕上がるかんぴょう、1本も無駄にできないと思いました。(59歳、女性)

・かんぴょうの栄養価がこんなに良いとは知りませんでした。(28歳、女性)

・かんぴょうのデザート“かんぴょうのオレンジ・ジュレ”ビックリしました。早速つくり、お盆のお客様に大好評でした。(56歳、女性)

【毎月楽しみなJAプラザ】

・毎回「ふぉーYou」は楽しみです。農産物直売所情報が得られ、「お役立ちレシピ」は役に立ちます。(66歳、女性)