栃木県のウドは全国トップの出荷量

 

 さわやかな香りとシャキシャキした食感、ほろ苦い食味が特長で、疲労を回復させるアスパラギン酸を多く含み漢方にも利用されるウド。乳白の姿が美しい、春を告げる旬菜です。

 農林水産省「2018年産地域特産野菜生産状況調査」によると、栃木県の出荷量は603㌧で全国1位。その大部分が那須塩原市、大田原市、那須町を管内とするJAなすの産です。現在同JAのうど部会には90軒の農家が加入し、「那須の春香うど」のブランド名でウド栽培を行っています。

 ウドは、根株に土とおがくずをかぶせて栽培する「山ウド」と、日光を当てず地下の室で栽培する「軟化ウド」がありますが、今回紹介する那須塩原市の磯繁さんは、妻と母の3人で「栃木芳香」という品種の山ウドを栽培しています。

 磯さんのお宅では代々米や大豆を栽培していましたが16年ほど前、休耕田が有効活用でき、割烹料理など和食の食材として用いられ価格も安定しているという理由から山ウドの栽培をスタート。磯さんは「地元で盛んに栽培されていて、教えてくださる先輩方の存在が背中を押してくれました」と話します。

 山ウドは毎年3月から4月にかけて種株(※①)を畑に植え、11月にハウスに移して伏せ込み(※②)をし、1月半ばから4月上旬に収穫します。とてもデリケートな野菜でありながら栽培期間が長く、種株の植え付けと収穫が重なるため春先は特に忙しくなります。JAなすのでは、作業の節目に栽培講習会を実施するほか、目ぞろえ会や品評会を開催し品質の向上に努めています。

早春の香りと食感を食卓へ

 山ウドはとてもデリケートで、根が水に漬かってしまうとすぐに傷んでしまうため、夏の台風や近年増えているゲリラ豪雨には特に注意しているという磯さん。種株への栄養を奪ってしまう雑草の除去も欠かせません。伏せ込みの後は、保温のため電熱線を通してハウス内を16〜18℃に保ち茎を伸ばしていきます。こうして手塩にかけて育てた山ウドは、JAなすのを通じて主に県内と首都圏に出荷されます。

 去年は種株のできが良く、台風などの被害もなかったのでおいしい山ウドが収穫できているそうです。「これからもおいしい山ウドを食卓に届け、昔からの地元の特産品を守っていきたい」と抱負を語ってくれました。

 磯さんのおすすめは、香りのある緑の芽の部分は天ぷらに、白い茎の部分は皮をむいてスティック状に切って、味噌やマヨネーズをつける食べ方だそうです。新鮮なうちに食べるのが一番ですが、「すぐに食べない場合は、1本ずつ新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で保冷を」と教えてくれました。

 JAなすのでは包装フィルム裏面にウドの簡単レシピを掲載しているので、これまでお店でしか食べたことがないという方も、ぜひウド料理にチャレンジしてみてください。一足早い春を味わってみてはいかがでしょうか。

 「那須の春香うど」は、県内のスーパーなどのほか、通販サイト「JAタウンとちぎ新鮮倉庫」でも購入できます。記事に関するお問い合わせは、JAなすの 営農部園芸課☎︎0287・62・5845まで。

雑学事典

 

【種株】(※①) 根株を1芽ずつ分割したもので、畑に植えて育てます。

【伏せ込み】(※②) 休耕田に植えた株を冬場に掘り出してハウス内で育てる栽培方法で、ウド栽培の主流になっています。掘り起こす時期は寒く畑が凍ってしまうこともあるため、種株を傷めないよう細心の注意をはらいます。