70年以上続く岩舟町のブドウ栽培

 

 関東有数のブドウ産地として知られる栃木市岩舟町。5月の初出荷以降、岩舟町ぶどう生産出荷組合では巨峰の収穫と出荷の作業に追われています。丹精込めてハウス栽培した巨峰は県内をはじめ東京、盛岡などに出荷され、その豊潤で甘い大粒のブドウは多くの人を魅了します。

 同組合で組合長を務め、70㌃のブドウ畑で巨峰やシャインマスカットの栽培を行う佐山猛夫さんは、「今年は冬から春先にかけて天候にも恵まれ、粒も大きくおいしいブドウができました」と話します。

 岩舟町でブドウ栽培が始まったのは今から70年ほど前。元々この地域は穀倉地帯で米農家が多かったそうですが、米を作りながら栽培できることからブドウ栽培が広がりました。当時はお盆のお供えや贈答用にキャンベルという品種を多く栽培していましたが、現在は種なし巨峰やシャインマスカットといった、食べやすく幅広い年代で好まれる品種の割合が増えてきました。

 佐山さんも子どもの頃からブドウ栽培を手伝い、県の農業短期大学校(現栃木県農業大学校)を卒業後、長野県での1年間の研修を経て就農しました。

 ブドウは1年を通じてとても手間のかかる果物です。苗木を植えて実がつくまでに数年かかるうえに、放っておくと藤の花のように広がってしまい、果粒の大きさも甘さも分散してしまいます。そこで、枝を剪定(せんてい)し、「芽かき」や「摘房(てきぼう)」といった余分な芽や房を取り除く作業を行い、果粒の大きい甘いブドウにします。寒い時期や春先は温度管理にも気が抜けません。佐山さん方は妻と2人での作業。種なしブドウを作るための作業「ジベレリン処理」は、タイミングを合わせて手作業で行う必要があり大変だそうです。

新鮮なブドウをおいしく食べる

 現在、最盛期を迎えているハウス栽培のブドウの出荷は7月末まで。それ以降は露地栽培のブドウへと移っていきます。同組合で栽培したブドウは、県内のスーパーや大手量販店、JAの通販サイト「JAタウン とちぎ新鮮倉庫」からも購入することができます。

 佐山さんは「ブドウは葉や根からの栄養はもちろん、風通しがよく、実に太陽の光があたることでおいしさが増します」と話します。選ぶ際は、色が鮮やかで粒同士に適度なゆとりがあり、ブルームと呼ばれる果粉が吹いているものがお薦め。食べる際には、冷やしすぎると甘さを感じにくくなるので、少し室温に慣らしてから食べるとより一層おいしく食べられるそうです。

雑学辞典

【ジベレリン処理】 種なしブドウを作るために行われる植物ホルモンを花房に浸透させる作業。1回目は種なしにするため、2回目は果粒を大きくするために行われる、非常に手間のかかる作業です。

【ブルーム(果粉)】 雨をはじき病気や害虫を防ぐためにブドウ自らが作り出す蝋質で農薬ではありません。ブドウの鮮度を見極めるポイントとして知られています。