定年後に趣味で始めたイチジク栽培

 イチジクは、もともと愛知県、和歌山県、福岡県など、気候が温暖な地域で栽培されている果実です。不老長寿の果物とも言われ、老化防止に効果があるとされるポリフェノールや消化を促すフィシンなどの酵素が含まれています。カルシウム、カリウム、鉄分などのミネラルやビタミン類もバランスよく含まれ、水溶性の食物繊維であるペクチンは、腸の働きを活発にするため、便秘に効果があります。
 JA佐野では、稲作農家の新たな複合作物としてイチジク栽培を推進するため、5年前に「JA佐野いちじく栽培研究会」を発足しました。現在会員数は18名で、「桝井ドーフィン」という品種を栽培し、出荷しています。
 松本安雄さん(70)がいちじく研究会の会員になったのは、3年前のことです。
 「研究会に参加していた友人からイチジク栽培をやってみたらと勧められたのがきっかけです。農業経験はまったくありませんでしたが、定年後は新しいことにチャレンジしたいと思い、趣味のつもりで始めました」と話す松本さん。いちじく研究会が主催する講習会で栽培のノウハウを学びながら、昨年夏に初めてイチジクを出荷しました。

佐野市のブランド商品を目指したい

 松本さんは露地でイチジクを栽培しています。イチジクは低温に弱く、冬の凍害、春先の霜害対策のため、樹全体をわらで巻くなどの防寒対策が欠かせません。また、果実の着色向上とアザミウマ類などの害虫から守るために反射シートを併用するなど、栽培にはかなりの手間を要します。
 イチジクの出荷は8月中旬から11月初めまで続きます。イチジクは、鮮度の低下が極めて早いので、早朝に収穫し、すぐに出荷しています。市場からは「鮮度も味もよい」と高い評価を得ているそうです。 
 今年は長雨の影響で実の成長が悪く、昨年より1週間ほど出荷が遅れそうですが、出来は昨年よりもいいと松本さんは胸を張ります。
 「佐野ブランドとして、イチジクがナシやモモと肩を並べるような商品になるようにこれからも頑張りたい」と今後の抱負を話してくれました。

雑学辞典

長崎に伝わったイチジク アラビア半島南部が原産地とされ、メソポタミアでは6千年以上前から栽培されていたそうです。日本には、江戸時代初期にペルシャから中国を経て長崎に伝来したといわれています。

イチジクは、禁断の果実!? アダムとイブは神から「食べてはいけない」とされた禁断の果実を食べた後にイチジクの葉で裸を隠したことから、「禁断の果実=イチジク」という解釈もあるようです。