集会にはJAグループ栃木や、集会実行委員会を構成する34団体と一般消費者ら約3000人が参加。TPP対策栃木県本部長の髙橋一夫(たかはしかずお)氏(JA栃木中央会会長)のあいさつや、同会の高橋勝泰(たかはしかつやす)専務理事の「TPPをめぐる情勢報告」などを受け、「暮らし、地域経済に打撃を与えるTPPへの参加を認めない」とした特別決議を採択しました。集会終了後の会場外では、「県産農畜産物と加工品直売フェア」が開催され、にぎわいました。

 [写真説明]TPP交渉への参加阻止へ向けてガンバロー三唱する約3000人の参加者=1月31日、宇都宮市のマロニエプラザ

■TPP対策栃木県本部長/JA栃木中央会会長/髙橋一夫氏/粘り強く県民運動展開

 本日の集会は、TPP交渉への参加阻止に思いを同じくする多くの団体に参加をいただき、開催することができました。

 TPPについては、昨年10月1日の臨時国会における菅直人首相の所信表明で、唐突に出てきた問題ですが、日本にどのようなメリットがあるのかが政府からは何も提示されていません。そのため、国民全体の議論とならず経済団体と農業団体の対立構造だけがクローズアップされています。

 農村の景観、暮らしと文化を未来に引き継ぎ、農業の多面的機能の発揮により、美しい日本の国土を守るためにも、TPP交渉参加は断固阻止しなければなりません。また、TPPは農業・工業などの関税撤廃交渉のほかに、金融・保険、サービス、労働の移動などさまざまな事項が対象になっています。農業者だけの問題ではありません。みんなの問題なのです。

 貿易の自由化を否定するものではありませんが、守るべきものはきちんと守った中で、自由化を図ることが必要だと考えます。TPPの内容を正しく理解し、人々の暮らしに及ぼす影響を正確に理解することが第一歩となります。この集会を機に賛同者を県内に広げ、TPP交渉への参加を断固阻止するため、粘り強く県民運動を展開していくことをお願いします。

 [写真説明]髙橋一夫氏

■特別決議採択■ JA栃木中央会副会長/小島俊一氏/農業は壊滅 地域にも打撃

 「TPP交渉への参加断固阻止に関する特別決議」は、JA栃木中央会の小島俊一(こじましゅんいち)副会長が決議案を読み上げ、満場の拍手をもって決議されました。

(以下決議文抜粋)

 菅総理大臣は平成22年10月1日の臨時国会における所信表明演説以降、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を継続して表明し、平成23年1月24日に開会した通常国会の施政方針演説で「米国をはじめとする関係国との協議を続け、今年6月を目途に交渉参加について結論を出す」とTPP参加に積極的な姿勢を示している。

 TPP参加は日本農業を壊滅させ、われわれの生活から、国産の「食」を失わせるだけでなく、農林水産業が果たしている国土保全をはじめとした多面的機能の喪失につながるものである。さらには、金融・保険、電気通信、サービス、労働等の24の分野にわたる幅広い事項が交渉対象となっており、我が国の仕組みや基準が一変しかねない問題も含まれている。

 我々は、人々の暮らし、ひいては地域経済にも壊滅的な打撃を与えることになるTPPへの参加を断じて認めることはできない。よって、TPP交渉への参加阻止の実現に向けて、学習会・署名活動等を通して幅広い県民の意思結集を図り、最後まで粘り強く県民運動を展開するものとする。

 以上、決議する。

 [写真説明]小島俊一氏

 ▽「TPPとは」 締結した国・地域間で関税撤廃を進め貿易障壁を取り除く「自由貿易協定(FTA)」の一つ。アジア太平洋地域の9カ国で締結を目指しており、関税を10年以内に完全撤廃することが原則となっている。協議への参加の是非をめぐって議論されている。

■食の安定供給は国の責務/農業は国土育む「命」の産業

 ■連帯のあいさつ

 ▽栃木県生活協同組合連合会会長/竹内明子(たけうちあきこ)氏

 食料の安全、安定供給、自給率アップや国土保全の問題は、すべての国民が望むものではないでしょうか。生協連は国内農業を産業として維持できる環境のため、TPPを学習し、皆さんと行動を共にしていきたいと思っています。

 [写真説明]竹内明子氏


 ▽栃木県地域婦人連絡協議会会長/小野(おの)ナツ氏

 自国の食料を自国で補給することは農政の原点です。いまこそ食の未来を真剣に考えてほしいものです。美しい田畑は、一度失えば、簡単によみがえるものではないのです。地婦連も米消費拡大などの支援策を続けていく方針です。

 [写真説明]小野ナツ氏


 ■参加団体の決意表明

 ▽JAかみつが/稲作農家/渡辺宏幸(わたなべひろゆき)氏

 国民に対して食料の安定供給を確保することは、国の責務です。もし、世界的に食料が不足する事態となったらどうするのですか。安心して食べられる食料を次世代に残すためにもTPPは絶対に受け入れられるものではありません。

 [写真説明]渡辺宏幸氏


 ▽JAなすの青年部部長/酪農家/小野幹夫(おのみきお)氏

 農畜産物と工業製品が同じ土俵で議論されていることに憤りを感じます。牛たちはその命を、最後に私たちに与えてくれているのです。おいしい国産農畜産物の安定供給というプライドのためにも、TPP参加には断固反対です。

 [写真説明]小野幹夫氏



 ▽JA栃木女性会会長/女性農業者/川崎央子(かわさきひさこ)氏

 瑞穂の国・日本。農業は美しい国土を育んできた「命」の産業。農業を放棄してまで追求すべき利益などないはずです。私たちは子供を産み育てる者として、将来を担う子供たちのために安全・安心な食を守り伝えていきたいのです。

 [写真説明]川崎央子氏


 ■参加者の声

 宇都宮市在住の男性(74)無職 生産者の生の声を聞くことができてTPP反対に対する考えが深まりました。参加してよかったです。

 上三川町在住の女性(38)会社員 トレーサビリティーのシステムを扱う会社に勤務しています。食に対する不安が高まる中、無関心ではいられません。

 宇都宮市在住の女性(49)団体職員 生産者のアピールを聞いて胸を打たれました。TPP議論は緒についたばかりですが、こうした機会を生かして勉強していかねばならないですね。

 さくら市在住の女性(60)団体職員 JAなすのの酪農家の方の言うように、「農業は命にかかわる産業」ということを忘れてはいけないと思いました。

 ■県産農畜産物と加工品 直売フェアを開催

 「TPP交渉への参加阻止集会」の開催に合わせ、会場となったマロニエプラザでは、県内JAグループによる「県産農畜産物と加工品直売フェア」=写真=が開催されました。

 同フェアは、イチゴやニラ、ホウレン草など各産地のブランド農産物を「格安」で直売。また、県産食材を使った「栃っ子餃子」や、「霧降高原牛」や「とちぎゆめポーク」の串焼きなどのブースも並びました。

 集会の終了とともに販売が始まり、ひと息ついた集会参加者、情報を聞きつけた一般消費者で大にぎわい。恵み豊かな栃木の県産農産物をじっくりと品定めしていました。

 [写真説明]「県産農畜産物と加工品直売フェア」

■TPP交渉への参加阻止栃木県民集会実行委員会構成団体

■栃木県医師会■栃木県生活協同組合連合会■栃木県生活学校連絡協議会■栃木県市町村消費者団体連絡協議会■栃木県地域婦人連絡協議会■栃木県農業会議■栃木県農業共済組合連合会■栃木県土地改良事業団体連合会■栃木県農業者懇談会■栃木県畜産協会■栃木県森林組合連合会■栃木県漁業協同組合連合会■酪農とちぎ農業協同組合■栃木県酪農業協同組合■栃木県開拓農業協同組合■宇印宇都宮青果株式会社■東一栃木青果株式会社■宇都宮農業協同組合■上都賀農業協同組合■はが野農業協同組合■下野農業協同組合■小山農業協同組合■佐野農業協同組合■足利市農業協同組合■塩野谷農業協同組合■那須野農業協同組合■那須南農業協同組合■栃木県農業協同組合中央会■農林中央金庫宇都宮支店■全国農業協同組合連合会栃木県本部■全国共済農業協同組合連合会栃木県本部■栃木県厚生農業協同組合連合会■上都賀厚生農業協同組合連合会■佐野厚生農業協同組合連合会

 コラムオアシス 整合性の見えぬ農政/苦悶の日々続く地域農業

 政権党が自民から民主に変わり、農業、JAにどんな変化があるのか、半分は期待感もあったが実際はどうなのか。

 初めに打ち出された農業者戸別所得補償制度だが、(中身の是非は別として)それまでの米の生産調整対策との違いで気になったのが、「生産者・生産者団体の主体的取り組み」という言葉が消えたことだ。JAは、農業者=組合員の利益の確保のために、市町と連携しながら水田農業推進協議会において人的出向も含めもろもろの対応をしてきている。新制度になってもそれは変わっていないし、国の出先の地方農政事務所だけで末端のすべての農業者対応ができるはずもなく、今後どのように政策の浸透を図るのか。

 そして突然出てきたTPP。何をか言わんや、政府は何を考えているのか。食料自給率50%を国の目標と定めたにもかかわらず、TPPに参加すれば自給率13%との農水省試算だが、政策に整合性が無いのは誰が見ても明らかだ。国民の安全・安心な食料確保という基本理念はどこへ行ったのか。地域農業・地域経済の崩壊で、農村は、地方社会はどうなるのか。

 JAなすのは、事業を進める上での基本目標として「地域農業の振興」を第一に掲げているが、その実現のために何をどうしたらいいのか。国政の基本方向が定まらぬ中で苦悶(くもん)の日々である。

(JAなすの常務理事 髙崎勝寿)


読者の声 ~12月の紙面から~

【国内農業の衰退を懸念】

・「食料自給率を上げよう」と言った口が乾かないうちに、TPPを結ぶ方向を示すとは!昔、母が口癖のように「一里四方の物を食べていれば体にええんだ」の言葉を思い出しました。(62歳、女性)

・TPP…絶対反対です!!「平成の開国」ではなく、日本の農業、日本全体の衰退につながるものだと思います。(55歳、女性)

・学校で習って、少しはTPPを知っていましたが、はるかに大きい影響が出ることに驚きました。(18歳、女性)

・国内の農業がダメになってしまったら、食料品の輸入が止まってしまった時に日本人が生き残れない。(46歳、男性)

・国内で生産可能な農産物を何故!遠い他国から輸入なのか。日本で育つ安心して食べられる食物と、国内農業を崩壊させるTPPには反対です。(62歳、女性)