昔ながらの地道な手作業

 まだ、夜も明けやらぬ午前3時。「しゅるしゅるしゅるっ」と、手かんなの音だけが、ウリ特有の甘い香り漂う作業場に響きます。重さ約8キロのユウガオの実をむき上げる時間は1分足らず。次から次へと機械に掛けられ、真っ白なかんぴょうが、さおにつるされていきます。

 ■ 深夜から、早朝まで ■

 「昔は国分寺近辺の農家と呼ばれる家では、かんぴょうを作らない家はなかった」と、JAおやまの干瓢専門部会長の近藤由一さん(68)=下野市国分寺=は振り返ります。「実を輪切りにし、内側からむいた時代もあったそうです。今は機械も自動で楽になりましたが、1本1本をかんなでむいていく作業は変わりません」

 深夜から、早朝にかけて「むいては干し、むいては干し」の地道な作業が続き、2棟のハウスが“白いすだれ”でいっぱい。今年からむく作業は、長男の隆さん(31)にバトンタッチ。由一さんは「産地の伝統を受け継ぎ、安全・安心で高品質なかんぴょうを作っていきたい」と言います。

 栃木の特産・かんぴょうは、国内生産シェア約98%。野州かんぴょう発祥の地とされる壬生町をはじめ、下野市、小山市、宇都宮市、鹿沼市、真岡市などで生産されています。

 かんぴょう問屋で構成される県干瓢商業協同組合(谷野方昭理事長)によると2008年度の生産農家戸数は425戸、作付面積は157ヘクタール、収穫量は393トンと減少傾向。社団法人とちぎ農産物マーケティング協会の特産部会かんぴょう専門部(遠井泰明部会長)には、JAうつのみやとJAおやまの各専門部会の生産農家約160人が加盟。同部会は、県干ぴょう生産流通協議会や、県干瓢商業協同組合など関係団体と連携し、新たなレシピの開発などを行い、栃木県産かんぴょうの消費拡大につなげようと努力しています。

 ■ 1月にかんぴょう祭り ■

 毎年1月の最終土曜日には宇都宮市で県干瓢商業協同組合主催の「栃木のかんぴょう祭り」が開催されます。9回目を迎える恒例のイベントで、恵方巻きの早食い競争などが企画されています。再来年は、県内で作付けされてから300年を迎えます。同組合の谷野理事長は「300年の節目として、消費拡大に向け、何か催しを考えなければなりませんね」と意欲的でした。

 [写真説明]早朝くから行われるかんぴょうむき。多い時期には深夜1時ごろから、約300個をむく日もある=下野市の近藤さん宅

 [写真説明]1本1本重ならないように丁寧に干してゆく

◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇

  • おいしいかんぴょうの選び方 乳白色で香りが甘く、肉厚で弾力のあるもの。また幅が広く太さがそろい、良く乾燥しているものが良品とされる。

  • 栄養素 食物繊維が多く、鉄分、カルシウム、カリウムも豊富に含まれ夏バテ防止にも効果。特に食物繊維は特筆すべきもので100グラム中に約30・1グラムの繊維質が含まれる。

  • かんぴょうの日 干瓢の干の字が一と十でできているため、1月10日をかんぴょうの日としている。毎年1月に消費拡大を狙い、イベントが繰り広げられている。

  • 東海道五十三次 歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」の50番目の宿・近江国「水口宿」(現・滋賀県甲賀市)には、名物の水口かんぴょうを干す場面が描かれている。


 コラムオアシス 自然環境と農業 恵まれた環境生かし努力

 JAかみつがは、県全体の約3分の1、山林は約40%を占める広大な面積を有するJAです。行政区では日光市、鹿沼市、西方町の2市1町に及び、管内には日光国立公園をもつ自然豊かな地域です。

 上都賀地域は自然や水に恵まれ、多彩な農畜産物が生産され、代表的なものは米、イチゴ、ニラ、トマトなどです。畜産では、「とちぎ和牛」の有数の産地でもあります。特に、米については都市部の生協会員の皆さんが、この恵まれた大自然から流れ出る清水で栽培されたお米を食べたいとの希望が多く、産地指定をしていただき毎年ご購入いただいています。

 農村には、昔ながらの伝統行事や日本文化がたくさん残されています。私達が受け継ぎ守り、そして次世代に継承していかなければ日本の良さがなくなってしまいます。

 安全・安心で優良な農畜産物を生産し、消費者に自信をもって提供していくためにも、この恵まれた自然環境や日本文化を大切にし、きれいな水を絶やさないように今後とも努力してまいります。

 JAマンとしての自信と誇りを持ち、地域農業の発展に貢献できるよう農業者と手を携え日々がんばっていきたいと思います。

(JAかみつが代表理事専務 桐生勝雄)

読者の声 ~6月の紙面から~

【デリタマかわいい】

・タマネギに品種があるなんて知りませんでした。「デリタマブラザーズ」のかわいらしさがとってもいいですね。大好きなキャラクターのひとつになりました。(47歳、女性)

【欠かせぬ安全な食】

・健康で生きるためには食べることが一番。安心・安全な食材で家族の健康を支えています。JAプラザを毎回興味深く読み、参考にしています。(64歳、女性)

・「農産物直売所めぐり」を楽しみにしています。ドライブの時には必ず直売所に寄りますし、スーパーでも直売コーナーにあるものを必ず見るようにしています。(54歳、女性)

【オニオンクレープ好評】

・オニオンクレープ、家族に大変うけました。(60歳、女性)

・さっそく“オニオンクレープ”を作りました。簡単でおいしくできました。友だちにも教えてあげました。(60歳、女性)