県独自の味、海外でも評判

 暑い夏には「幸水」、味覚の秋には「豊水」、そして10月以降の締めくくりには「にっこり」と、本県産のナシはシーズンいっぱいまで魅力的な顔がそろいます。生産量は年間約2万6千トンで全国5位、栽培面積は約900ヘクタールで、950軒の農家が栽培しています。主力は幸水、豊水で約9割を占めていますが、徐々に晩生の新品種にっこりに注目が集まっています。にっこりは、これまでの晩成種のイメージを払しょくする味の良さで、市場の評判も上々です。2004年からは、香港にJAしおのや産のにっこりが試験的に輸出されており、現地では「スマイルリー」の名で親しまれています。

 ■ 贈答用商品に的絞る ■

 こたつに集う家族の団らんに、よく冷えたナシ−。今シーズンからJA全農とちぎは、そんなイメージで本県独自のにっこりをPRしています。キャッチフレーズは「暖かい部屋で味わうみずみずしさ」とし、日持ちがよい(常温で75日くらい)という晩成種の特性を生かし、年末年始の贈答用商品に的を絞って販売戦略を組みました。12度以上の高糖度(通常は11度程度)で大きな玉の商品を作る一方、にっこりとしての規格を厳しくし、今まで以上に栃木のブランドナシ・にっこりを全国に広く知ってもらおうと計画しています。

 1996年に県農業試験場で誕生したにっこりは、幸水などの約2倍の大きさ(平均約800グラム)ながら糖度は高く、みずみずしい果肉が魅力です。国際観光都市・日光のおひざ元のナシということと、作ってニッコリ食べてニッコリ、ということから名付けられました。登録から10年がたち「徐々に品質も安定してきたのでは」と話すのは、品種改良に携わった同試験場果樹研究室の高橋建夫室長。県で初の新品種ということもあって発表した当時は「不安でいっぱいでした」。しかし今では各生産農家からは喜びの声が多く聞かれ、特に幸水などの主力品種が不作に見舞われた年でも「にっこりに救われた」と言われた時などは「研究者冥利に尽きる思いがします」とのことです。

 ■ 生産農家も“太鼓判” ■

 高根沢町下柏崎のJAしおのや梨部会長・古口孝さんは「にっこりは晩成種のナシではまちがいなく日本一だ。絶対負けない」と自信を見せます。ナシの栽培歴30年の古口さんは「これまで晩成の品種にはいいものがなかった。大きくても味に魅力がなくて…。にっこりにもあまり期待していなかったが、実際育ててみて味の良さに驚きました」と話しています。今年も香港に出荷の予定ですが、古口会長自身も2月に、県企画の「香港・台湾食品市場調査ミッション」に参加し、現地でのにっこりの評判を聞き、あらためてその魅力を実感したようです。

 そしてもう一つ、ナシ農家にとってキラリ輝く“希望の星”が誕生しようとしています。昨年1月に県農業試験場が品種登録を出願した「きらり」です。収穫期は豊水とにっこりの間で、やはり実は大きく糖度も高く、やわらかな果肉が特徴です。今後は「早生品種の育成に重点を入れていく」(果樹研究室高橋室長)そうで、本県独自のナシのラインナップがさらに充実していきそうです。

 [写真説明]収穫に追われる「JAしおのや」梨部会長の古口孝さん夫妻=高根沢町下柏崎

 [写真説明]贈答用商品のために新調された「にっこり」の化粧箱(手前のナシは幸水、豊水)


 コラムオアシス 食の安全・安心について

 時々、休日に思い立つと夕飯を作ることがある。学生時代、自炊生活を1年間経験したので、料理を作ることはあまり苦にならない。食材の買い出しも自分で行う。スーパーに行き、食材を吟味する。以前は値段に真先に目がいったものだが、最近は最初にその材料が国産か外国産かを見る習慣がついてしまった。見た目がいくらおいしそうであっても、基本的に外国産のものは購入しないことにしている。

 日本人が食の安全・安心に大きな関心を持つようになったのは、何と言ってもBSE問題が発生してからであろう。最近、米国産牛肉の輸入が再開されたが、本当に安心できるのか疑問である。お隣の韓国では、検査体制が不十分ということで、全面的な輸入再開には至っていないそうである。

 

また、今年5月から食品衛生法の改正に伴い、ポジティブリスト制度(残留農薬が決められた基準を超えて検出された場合、販売を基本的に禁止する制度)が施行された。あまり報道されないが、厚生労働省の公表資料によると同制度施工後、各地の検疫所で見つかった輸入食品の違反例は124件あったとのこと。特に、多いのが中国産で、養殖ウナギやエンドウ豆、落花生、シイタケ、ネギなど61件に及んでいる。一方、日本国内産では、1件のみという。

 

JAグループは、安全・安心な農畜産物を消費者の皆様に届けるため全力を挙げています。我が国の食糧自給率は、約40%で先進国の中で最低です。国内農畜産物の消費を一層拡大し、自給率向上をめざそうではありませんか。

(JA共済連栃木・本部長 玉田民夫)