ICTも活用したユリ栽培

「純粋」「無垢」「威厳」の花言葉を持ち、豪華で気品のある花と豊かな香りが人気の高級花、ユリ(※①)。誕生日やお祝いなどの記念日でよく贈られます。県内でユリの栽培が盛んな宇都宮市ですが、JAうつのみやの球根切花専門部では現在5人のユリ農家が年間約70万本のユリを出荷しています。

 同部会で専門部長を務める須藤智司さん宅では、父の代からユリの栽培を開始。現在は、両親と2人の従業員の5人で、主に「オリエンタルユリ」と「OTユリ」の品種を栽培しています。須藤さんによると、オリエンタルユリは、花が大きく、茎が堅くしっかりしていて、香りが芳醇なのが特長。一方のOTユリは今までなかった黄色いカラーなどが出せる点が特長だといいます。

 須藤さんが、特に気をつけているのが土の状態です。水素イオン濃度(pH)や電気伝導度(EC)(※②)を測定し、水や肥料の配分を調整。部会としてもICTを導入したハウス環境の管理や土壌の蒸気消毒(※③)などを行っています。近年では、夏場のユリ栽培が盛んな新潟県のユリ農家と交流し技術交換するなど、品質のよいユリの栽培に努めています。

さまざまな場面でユリを楽しんでほしい

 今後は規模を拡大して、より多くの宇都宮産のユリを全国に届けたいと語る須藤さん。部会としても先輩や仲間たちと一緒に規模拡大や新しい技術の導入にも取り組んでいきたいそうです。

 現在、須藤さんたちが栽培したユリは、東京や東北地方、宇都宮に出荷されています。実は宇都宮市内の生花店で扱われるユリのほとんどは宇都宮産なのだそうです。

 最近は自宅で楽しむ人も多くなってきたユリ。長持ちさせるためには毎日茎の先を切り、水を替えること。直射日光やエアコンの風が当たらない場所に置けば、1カ月程度は花が楽しめると言います。玄関やトイレに飾るのもいいですが、須藤さんのおすすめはお風呂場。適度な湿気があるからか花持ちがいいそうです。ユリを選ぶ時は、葉は大きく緑色で、茎の堅いしっかりしたもの、つぼみがふっくらしたものを選ぶのがポイントだそうです。

 記事に関するお問い合わせは、JAうつのみや営農部園芸課☎028・667・0152まで。

雑学事典

【ユリ】※① ユリ目ユリ科のうち主としてユリ属の多年草植物。北半球のアジアを中心にヨーロッパ、北アメリカなどの亜熱帯から湿帯、亜寒帯にかけて広く分布。品種が多く、国内には15種あり7種が日本特産品。JAうつのみやのユリは、主にニュージーランドやオランダから球根を輸入して栽培しています。

【電気伝導度(EC)】※② 土壌中の水溶性塩類の総量を表す数値。土壌中にどれだけ肥料が残っているかを判断する目安となります。この数値が高い場合は肥料を減らし、低い場合は肥料を追加するなどします。

【蒸気消毒】※③ ボイラーで発生させた蒸気の熱で土壌を消毒し、病害虫を防除する方法。防除効果だけでなく、根量の増加や吸肥力の向上などの効果も期待できます。