スマートフォンから広い世界と簡単につながってしまう子どもたち。「うちの子は大丈夫」はない

本文と写真は関係ありません

 会員制交流サイト(SNS)に潜む危険性が改めて注目された昨年11月の大阪市の小6女児誘拐事件。子どもたちはなぜ、無防備に「顔も知らないトモダチ」に心を許し、会いに行ってしまうのか。1月中旬から10回にわたった連載では、現実社会での人間関係につまづき、家庭や学校に居場所を見つけられない子どもたちの姿を描いた。SNSを入り口に性犯罪などに巻き込まれるリスクは、決して一部の“特別な子”だけのものではない。子どもたちを狙う罠(わな)は甘く、巧妙で、誰もが被害者になり得る。連載への反響を紹介する。

(子どもとSNS取材班)

 連載には読者からさまざまな感想が寄せられた。特に、配信されたネットニュースのコメント欄には多くの書き込みがあった。書き込みは基本的には匿名であり、投稿者の情報がない。それらを“反響”と捉えるには危うさもあるが、一方で読者の素直な、偽りのない思いが吐露されているとも言えるだろう。

■体験談多く

 実生活に居場所がなくSNSで家出先を探す少女たちと、彼女たちを自宅に泊める“神”を取り上げた3回続きの「神待ち」には、「困っている子に群がる巧妙で卑劣なやり口」「家に居たくない状況を作る家族が問題だけど、そこにつけ込むヤツはとんでもない」など“神”への批判が多数。わいせつ目的誘拐罪などに問われた“神”たちへの判決の軽さを疑問視する声がある一方、「需要と供給が合っている」「一方的に加害者とするのはおかしい」と擁護する意見も散見された。

 折しも神戸市の児童相談所が保護を求めた小6女児を夜中に追い返した問題が報じられたことから、「子どもたちが男の誘いが安全ではないことを知っていたとしても、それではどこへ行けばいいのか」という怒り、「ただでさえ児童相談所や警察は敷居が高い。子どもたちを守るためには、気軽に24時間相談できる場をつくらなければ」との危機感が見られた。

 体験談が多く寄せられたのは、行き場を求めてさまよう少女たちを描いた全3回の「居場所」。

 求められる一瞬を求めてSNSで知り合った男性とホテルへ行く女子高生に「私もそっち系。自己肯定感低めで、誰かに求められることがうれしい」「すっごいわかる。痛みは痛みでしか紛らわせない」と共感する声が上がった。「友人に恵まれて徐々に自分を大切にできるようになった」「もういい大人だから親を憎んだりはしていないけど、自分は絶対に子どもを持たない」と“その後”の自分を明かす人もいた。

■安全対策を

 大阪市の小6女児誘拐事件で顕在化したのは、SNS被害の低年齢化と「入り口」の間口の広さだ。誰もが楽しめるオンラインゲームなどに大きな罠が潜んでいる実態を連載でも紹介した。

 親世代と思われる人を中心に、「同じ年頃の子どもがいるので、読んでいてぞわぞわした」という不安を持った人は多く、「ネット犯罪から子どもを守れるような法律を整備してほしい」「キッズ携帯とスマホの中間のような小中高生向けの機種を作ってほしい」と具体的な要望も挙がった。

 3人の息子を持つ宇都宮市在住の女性の手紙には、子どもたちに押し切られフィルタリングをかけなかった経験を振り返りつつ、連載の中で紹介した「スマホの機能やアプリに追い付けないからこそ、親も学ぶ必要がある」という言葉への自省がつづられていた。

 小学6年と中学3年の娘を持つ小山市在住の女性は「小中学生にスマホ所持を禁止している小山市の取り組みをぜひ紙面で紹介してほしい。判断力が十分に育っていない子どもを本気で守るという強い意志の表れだ」とメールを寄せた。長女にはこの春からスマホを持たせるが、これまで時折母親のスマホで無料通信アプリLINE(ライン)を使う長女を見守り、さりげなくアドバイスしてきたという。

■話し相手に

 全編を通じ、「悩みや葛藤を受け止める先がSNSになっている」「寂しさを抱えた子が疑似恋愛の先に搾取されている」という実態を心配する人は多く、「わが子じゃなくても親身に話を聞いてあげられる『よそのおばちゃん』になりたいと、切実に思ってしまった」などという書き込みがあった。鹿沼市、40代主婦からは「子どもたちの話し相手になりたい」というファクスが届いた。

 「ほとんどの人がスマホとにらめっこしている。親子の交流や会話がない子どもたちは、これからどうなってしまうのか」。宇都宮市、70代男性はファストフード店などで見掛ける親子や若い世代が以前から気になっていたという。

 住所も名前も書かれていない分厚い手紙も届いた。「いじめに遭っていた娘が寂しくないようにとスマホを与えたが、SNSから危険な世界に巻き込まれてしまった」。ボールペンの震えとともにそのつらさが伝わり、限りなく重かった。