「自分が必要とされている」。そう思える一瞬を求め、女子高生はホテルに向かう。

1月28日夜、宇都宮市内

 あたしにはそれだけの価値がない-。

 会員制交流サイト(SNS)で知り合った男たちと性交渉を繰り返す県南の高校3年の女子生徒は、「もっと自分の体を大切にした方がいい」というスクールカウンセラーの言葉にそう答えたという。

 「ブスだし。あたしなんて相手にしてくれるのは、そこしかないんだよね」

 18歳。そこまで自分をおとしめざるを得なかった彼女のこれまでの日々を思うと、「こっちの心まで寒くなった」とベテランのカウンセラーは振り返る。

 「お母さんとうまくいかないんだ」

 当初、面接でそんな悩みを話していた女子高生が、顔も知らない40、50代の男性と頻繁にホテルへ行くと打ち明けたのは、半年近くたったころだった。不特定多数の人と簡単につながるスマートフォンの出会い系アプリから、無料電話を利用するという。

 週末、ホテルを指定して「おじさん」に会いに行く。金銭は介在しないが、甘い関係にもならない。暴力を振るわれたり、精液を飲むことを強制されたり、大抵は嫌悪感で終わる。

 「だけど、こうでもしないと誰も誘ってくれないし」

   ◇   ◇  

 発達のでこぼこがある女子高生は、親にとって育てづらい子だったのかもしれない。小さい頃から彼女には安心できる居場所がなかった。

 ささいな失敗でも母親から叱責(しっせき)され、時には無視された。常に母親の顔色をうかがい、人目を気にし、それでも「死んでくれない?」とまで暴言を吐かれる彼女の闇。

 ホテルでの性行為だけ。同じ人とは二度と会わない。トイレで吐くというほど嫌なこともされる。なのに、なぜ会いに行くのか-。

 カウンセリングを続け、落ち着いてきたかと思うと、「またやっちゃった。ごめんなさい」の繰り返し。

 「自分が必要とされていると思える一瞬を悲しいほど求めている。男にとったらホテル代だけ。こんなおいしい話はないですよね」。ベテランのカウンセラーでも、この先の道のりの険しさに嘆息を隠せない。

   ◇   ◇  

 とちぎメディカルセンターしもつが(栃木)小児科の杉田憲一(すぎたけんいち)医師は、「成長の過程で、親など特定の養育者と愛着形成ができなかった子は、優しさに憧れ、知らない相手にも簡単に付いて行ってしまう傾向がある」と語る。 

 一方で-。SNSで居場所を探す子どもたちは、時に加害者にもなり得る。 

 不登校が続いていた県央の中学2年の男子生徒は、スマホを手に入れた途端、LINE(ライン)に夢中になった。手当たり次第友人にメッセージを送り、反応のない相手には怒りをぶつける。

 怒りはやがて、衛星利用測位システム(GPS)を利用し女の子を待ち伏せするというストーカー行為にまで発展してしまった。

 一人親家庭で育った男子生徒は、SNSで誰かとつながるのがうれしかった。多忙な母親は仕事後も出歩くことが多く、彼の食事は小さい頃からずっとコンビニ弁当だった。

 杉田医師は、現場の危機感を明かす。「虐待や脆弱(ぜいじゃく)な家庭環境での生活(逆境的体験)は、愛着障害などとなって、小児期の問題行動に限らず、成人期の心身にも影響する。そういう子は確実に増えています」

(子どもとSNS取材班)