消費拡大へPR強化

 栄養価も高く、価格的にもお手ごろな豚肉。本県は飼養頭数が全国10位にランクする「豚肉県」でもあります。牛肉の活躍に隠れがちですが、「おいしい県産豚」の消費拡大を図ろうと、イメージアップ作戦が進んでいます。

 県畜産振興課によると、県内の飼養戸数は188戸(2006年2月現在)で、全国で10位。数十年前に比べ、農家数は10分の1以下に減りましたが、1戸当たりの頭数は増えており、大規模化と経営効率化が進んでいます。

 ■ 交配や飼料 独自に ■

 豚は血統や飼料などに独自性を出せば、自由に「銘柄豚」(いわゆるブランド名)と名乗ることができます。独自に交配したり、独特の飼料を与えたりと各自が工夫を凝らして、肉の香りや味に違いを出します。

 県内では現在、個人や企業、組合などの養豚場ごとに、少なくとも24の銘柄豚が確認されています。県養豚協会の星正美会長は「豚は遺伝や餌が肉質に大きく影響します。養豚農家はそれぞれ理想とする豚にしようと、試行錯誤を繰り返しながら数年かけて『銘柄豚』を確立していくんです」と説明します。

 ただ、全国では250以上もの銘柄豚が存在し、それぞれの特徴について、消費者には知られていないのが実情です。また、店頭に並ぶ際にただの“国産豚”と表記されるケースも少なくないそうです。

 ■ 信頼性をアピール ■

 消費者の安全安心志向が強まる今、生産者の顔が見える商品が求められています。こうした中、JA全農とちぎは今年から、養豚農家やスーパーと協力し、健康とおいしさにこだわった独自の豚肉供給に乗り出しました。生産や流通などの過程を明確にした「豚肉パスポート」を店頭で提示し、銘柄豚の信頼性をアピールします。

 全農とちぎの取り組み第一弾が、真岡市の宮田養豚が提供する「地養豚(じようとん)」です。木酢液や海藻などを混合した飼料「地養素」で育った豚肉は、甘みや光沢が強く、臭みがない仕上がり。脂もしつこさを感じず、柔らかい口当たりです。今年6月からスーパーのオータニとの取引を始め、現在は週80−90頭のペースで出荷しています。

 地養豚のほか、サシが入り食感豊かな「とちぎゆめポーク」の開発に着手し、首都圏に向けて販売する計画です。

 全農とちぎ畜産部は「市場のニーズを追求した商品をつくり、販売します。全農が間に入り、生産者と消費者の懸け橋的な役割を果たし、今後もブランド豚を増やしていきたい」と力を込めます。

 ■ フェアで試食会も ■

 また、県養豚協会も県産豚の一層の普及を図ろうと、本年度から広報活動に力を入れています。10月の「とちぎ“食と農”ふれあいフェア」に参加し、試食販売を通じてPRする予定です。

 星会長は「今年を『栃木県豚の元年』と位置付け、協会一丸となって各自の銘柄豚を売り出します。こだわりある豚肉をいろいろ食べ比べて、おいしい県産豚を知ってほしい」と意気込んでいます。

 【安全安心への取り組み】JA全農とちぎは昨年10月から、生産・流通履歴を追跡する仕組み「トレーサビリティ制度」を導入した。豚は牛と異なり個体管理が難しいが、1つの豚房で飼育する豚を「群」で管理し、豚群を識別する番号で生産履歴を追う。生産者は飼料内容や医薬品の投与、出荷年月日などのデータを記録。その内容を「豚肉パスポート」に転記し、豚肉の販売先あてに発行する。豚肉での導入は全国でも初めてという。

 [写真説明]母豚のおっぱいに群がる生後約10日の子豚たち。母豚1頭ごとに豚房があり、餌を食べたり眠ったりして1日を過ごす。1回につき、10数頭から20頭の子豚が生まれるという=真岡市の宮田養豚


◇◆◇ 雑学辞典 ◇◆◇ 豚編

  • 豚の種類 一般的に三元交配といって3種類の豚を掛け合わせて生産し、生後6カ月程度で肉になる。鹿児島の黒豚はバークシャーという品種のみで、一般の豚よりも成長が遅いため、飼育に手間がかかり、価格も高めとなる。

  • 豚の習性 人間にも大変なつきやすく、人間の声や顔を良く覚える。暑さに弱く大変きれい好きなので、水浴びやブラッシングが大好きで涼しい所を探すのが得意。デリケートなので、ストレスが肉質に影響するという。

  • 栄養 ビタミンB1は牛肉の約10倍も含まれ、疲労回復に効果的。酵素を助ける働きもあり、体の機能を正常に整えてくれる。脳の働きを活発にさせるビタミンB12も豊富。良質のタンパク質も含まれ、ヘルシー志向の料理にぴったり。


 コラムオアシス 日本のお米

 最近、平成19年産米の概算金支払いが全農統一方針「内金方式(内金+追加払い+精算金)」に変更され、内金水準は1俵(60キロ)7000円と示されました。これに対し、全農栃木県本部運営委員会では集荷対策面から、内金9000円(JA米1等級)を上限に銘柄品質ごとに設定し、「追加払い」はなく「精算金」のみとすることで合意しました。決定に至る過程では活発な議論がなされ、それは真剣なものでした。

 なぜ、ここまで低価格(生産者から見て)に設定しなければならないのでしょうか?考えられるのは、(1)米消費量の減少(2)生産調整未実施者による過剰米生産(3)過年度米在庫処理と実需者の思惑(4)本年度作柄は平年並みの予想(5)米センターによる第1、2回入札での落札なし−などである一方、生産者や同団体ではどうにもならない政策に対する不信感も大きく影響しています。

 農家の所得は年々低落傾向にあり、特に、土地利用型農業は将来的に危機にひんする恐れがあります。日本のお米は、その時々の国難を乗り切ってきた歴史があり、民族の生命を育んできたことを忘れてはならないと思いませんか?

(JAしもつけ代表理事組合長 川田匡男)