これまでに製作したアルバムを手にする篠原さん

これまでに製作したアルバムを手にする篠原さん

これまでに製作したアルバムを手にする篠原さん

これまでに製作したアルバムを手にする篠原さん
これまでに製作したアルバムを手にする篠原さん
これまでに製作したアルバムを手にする篠原さん

 気付けばたまっている子どもの写真。どう整理しようか、頭を抱えている人も多いのでは。近年はスマートフォンアプリで簡単に保存・管理できるが、写真をアルバムなどの形にしてこそ生まれる魅力もある。写真を貼り、子どもを褒めることで自己肯定感を高める教育習慣も広がっている。

 宇都宮市元今泉5丁目、飲食店経営篠原恵子(しのはらけいこ)さん(50)は15年ほど前から、3人の娘の写真を手作りのアルバムに残している。

 「痛みが急に強くなり、病院に着くと、びっくりするほどあっという間に生まれました」。次女幸(みゆき)さん(23)が生まれた時の写真には、出産までの経緯や、当時の思いが記されている。

 友達に誘われて製作を始めた。完成した最初の1ページを家族に見せたところ、想像以上に喜んでくれた。「子どもと向き合う時間になり、日常でいらいらすることがあってもリフレッシュできた」。自身にとっても息抜きになったという。

 その後、写真整理を兼ねて製作を続けている。ただ写真を並べたり貼ったりするのではなく、メッセージや思い出を「手紙を書く感覚」で添えている。「子育ては良いことばかりじゃないけど、思い返した時に頑張ったと思えるから」と理由を語る。

 作業する時間の楽しさや、アルバムを子どもにみせた時の感動を「ほかのママにも体験してほしい」という思いが次第に芽生えた。

 5年前にアルバムアドバイザーの資格を取得。2021年4月、製作ワークショップを宇都宮市まちづくりセンター「まちぴあ」で、初めて企画した。以降、月1、2回定期開催し、アルバムや写真を飾るフレームなどを作っている。

 作品をリビングなど家族が見える所に置くよう勧め、自身も実践している。「愛されて育った姿を見ると、子どもが自分を大切にできるのでは」と考える。

写真を飾る家庭 子の自己肯定感高く

 写真を飾っている家庭の子は、そうでない子と比べて自己肯定感が高い傾向にある-。教育評論家や発達心理学者らで構成するプロジェクトチームが、2018年に行った調査や脳活動の測定実験で実証された。

 チームは、写真を使って子どもを褒め、自己肯定感を向上させる子育て習慣「ほめ写」を推進しようと立ち上がった。

 活動を始めるに当たり、自己肯定感に関するアンケートを園児や児童とその親600組に行ったところ、写真を飾っている家庭の子は、飾っていない家庭の子より「自分の親から愛されていると思う」「自分にはよいところがある」などの問いに対し、肯定的に回答した。

 プロジェクトリーダーの教育評論家親野智可等(おやのちから)さんは「子どもが輝いている姿や、家族との写真をプリントアウトして、目に触れるところに貼る。何げなく見ているうちに、家族や兄弟の愛情を実感できるようになったり、頑張った時の自分を思い出して自己肯定感が高まったりすることが期待できる」と説く。

 宇都宮市下岡本町の伊東写真館代表で、大学卒業後30年以上、学校写真の撮影に携わるカメラマン伊東一平(いとういっぺい)さん(55)は、プロジェクトの応援企業に登録している。

 父がカメラマンだったこともあり、子どもの時から自分の写真が身近に残されていた伊東さん。見返すたびに「記憶にはない、小さい頃の物語があり、両親がどれだけ自分を大切にしてくれたか実感した」と感謝の思いが募った。自身も子どもの写真を居間に飾っている。「写真は存在の証し。形にして大切にしてほしい」と語る。