冬の森を歩くと、つるが巻き付いた木を目にすることがあります。丸い葉っぱを付けたアケビ。春には紫の美しい花を咲かせるヤマフジ。真っ赤に紅葉するツタウルシ。木々の葉が落ちた森では、夏にはあまり目に付かなかったつる性植物たちに気付くのではないでしょうか。そんな冬の時季になるとサシバの里自然学校の里山では、森の手入れをします。

木に巻きついたつるをほどいて高い位置で着ると長いつるが取れる

 昭和の中ごろまで里山の木々(広葉樹)は、まきや炭の材料として定期的に伐採されてきました。落ち葉は田畑の肥料となり、キノコや野草は食料として生活に深く関わってきたのです。しかし生活スタイルの変化により里山の利用は減少し、森を手入れする人も減り、うっそうと茂った里山が増えてしまいました。

 そんな里山を元の姿に戻すため、森の手入れの一つとしてつる切りという作業をしています。つる切りとは、木に巻きついたつる性植物を取り払うこと。特にヤマフジなどは数年で腕の太さほどまで成長し、絡み付いた木々を締め付け倒してしまうこともあります。そんなことにならないように、つるが細いうちに根元から切ってしまうのです。

大きなリースでもいろいろな遊び方がある

 切り落としたつるを使うといろいろなことができます。クリスマスも近いことですし、リース作りがおすすめです。輪を作ってつるの端を交互に輪へ巻き付けていきます。つるが太過ぎると、大きな輪になってしまい飾る場所に困るかもしれません。家に飾るなら細めのつるを何重にも巻き付けるのがよいでしょう。ヒノキなど緑色の葉や松ぼっくりなどを飾り付けると、里山リースの完成です。

 つるが太くて曲がらず、輪が大きくなってしまったら輪投げも楽しいですよ。もっと大きかったらフラフープにして腰で回してみてください。かなり難易度高めのエクササイズができるかも。もっと太くて長かったら大縄跳びや電車ごっこもできますね。

里山で採れたものを散りばめた里山リース

 里山の森は、昔から人の生活とともにありました。人が手入れをしてあげないと元気のない森になってしまいます。つるを使ったクラフトは、手入れをしてくれた人への森からのプレゼントなのかもしれませんね。

【注意】
・ご興味のある方は、近隣等で行われている里山保全活動などにご参加ください。
・つる性植物の採取等については、必ず持ち主や管理者の許可を得て行ってください。

(遠藤隼(えんどうじゅん)・サシバの里自然学校校長)

■とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク登録団体のイベント情報

そばの実脱穀・石うす・そば打ちまでできちゃう!(鹿沼)

・日時…11日

・参加費…3000円

(イベント詳細、申し込みは「にじのもり自然学校」ホームページへ)

親子で冬の里山森づくり体験(市貝)

・日時…24日

・参加費…大人3500円、子ども2500円

(要予約。イベント詳細、申し込みは「サシバの里自然学校」ホームページへ)

◆遠藤隼(えんどう・じゅん)さん◆1984年、宇都宮市生まれ。大学卒業後、静岡県にある自然学校職員として子どもキャンプやエコツアーを指導。2012年8月から1年以上かけて、自転車でユーラシア大陸横断・南米縦断をした。2021年度宇都宮大大学院修了、研究テーマは「里山での幼児向け体験型環境教育の実践と評価」。現在はサシバの里自然学校校長、作新学院大女子短大部非常勤講師。