妊娠・出産を経た女性は心身とも大きなダメージを受け、時には産後うつなどに発展してしまうことも。産後の女性に起こる心のトラブルについて、前回に引き続き鹿沼市の助産師小嶋由美(こじまゆみ)さん(47)に聞いた。

小嶋由美さん

 出産直後は、育児に対して漠然と不安を感じたり、理由もなく涙が流れたりすることがある。産後疲れやホルモンの変化などが原因と考えられ、育児に慣れていくにつれて気分が落ち着く人が多い。

 だが、夫や家族につらさを理解してもらえず、不安感を抱え続けると、うつ状態が続いて子どもに手を上げたり、自殺に至ったりするケースもある。

 産後うつに陥りやすいのは、内向的で真面目な人、人一倍責任感が強い人、失敗した経験がない人など。夫や家族に「産後うつは誰にでも起こるもの」と理解してもらい、一人で悩みを抱えないことが大切。産後2カ月は心身の不調が続くので、家族や専門家の力を借りてしっかり養生しよう。

 

 

 ハーブティーやアロマオイルなどお気に入りのリラクセーショングッズを用意して、つらくなったときに頼るのもいい。

 行政のメンタルヘルス事業も活用したい。県内では全市町が、妊娠中から産後の女性の心身の状態や支援ニーズをつかむケア事業を行っている。産後1カ月検診では「赤ちゃんが生まれて笑うことができたか」「悲しくなったり惨めになったりしたか」といった質問で心理状態を数値化。うつ傾向が見られた場合は医療機関が行政に連絡し、助産師や保健師の指導につなげる仕組みだ。

 母親の休養のために一時的に赤ちゃんを預かるサービスをしている助産院や産後院もある。小嶋さんは「子どもが健やかに育つためにも、母親自身も心と体の健康を保ってほしい」とアドバイスする。

 心の不調に打ち勝つには、産前の準備も効果的。妊娠が分かった時のうれしい気持ちを書き留めておいたり、大きくなるおなかの写真を収めたりしておくと、大変な状況も前向きに受け入れやすいという。