県内中小企業へのAI普及に取り組む斉藤マネジャー=宇都宮市内

-とちぎビジネスAIセンター(以下AIセンター)の役割は何ですか。

 「県は2025年度までにAI(人工知能)またはIoT(モノのインターネット)を導入する事業所の割合を19年度の2・9%から30%に引き上げる目標を掲げています。目標達成に向け、県内企業の方にAIの特徴を知ってもらい、導入までをサポートするのが役目です」

-なぜAI導入が必要なのでしょうか。

 「第一に労働力不足の問題です。少子化が進み、本県人口は60年には130万人になると推計されています。生産人口で見るとさらに深刻な事態となることは明確です。現状のまま人に頼った仕事を続けるのはいずれ困難になります」 「会員制交流サイト(SNS)の普及などで、消費者は国内外問わず高品質かつ安価な商品に関する情報を瞬時に得られます。これらの企業との差別化を図るためにはAIなどを活用して生産性を高め、商品の付加価値を高めることが重要です。デジタル技術が劇的に進化しており、以前よりも各企業が取り組みやすい環境になっています」

-AIセンター開所からの3カ月、どんな取り組みを進めましたか。

 「まずはAIそのものやセンターを認知してもらうことが重要です。県などが主催するセミナーで講演をしているほか、ホームページや写真共有アプリ『インスタグラム』での情報発信に努めています。AI導入を検討する企業を個別に訪問し、これまでに3件が実現しました。始まりとしては上々だと思います。コロナ禍を踏まえ、必要に応じてオンラインも活用しながら企業へのアプローチを進めたいと考えています」

-AIに対する企業の関心の高さはいかがですか。

 「8月末現在、センターには企業や商工団体の関係者など約700人が来所しました。センターには常時約10種類の製品を展示し、AIの機能を体験できるようにしており、高い関心を持ってくださっています。自社でのAI活用の在り方を多くの企業の方に考えていただける場所であり続けたいと考えています」

-県内企業にAIを浸透させるための課題は何でしょうか。

 「現時点では個々の企業にとってAI導入のハードルはまだ高いかも知れません。AIへの認知度を高めると同時に、AIだけでなくデジタル化全般の相談に応じたいと考えています。また、商工団体など関係機関との連携も必要です。AIは製造業が中心と思われがちですが、サービス業などあらゆる産業で必要とされる技術です。栃木の企業が変わるチャンスなので、その一助を担いたいです」

2021年9月22日(水)    下野新聞朝刊