栃木労働局は30日、4月の県内有効求人倍率(季節調整値)が前月より0・01ポイント上昇し、1・21倍となったと発表した。上昇は2カ月連続で、有効求人数が0・5%増加した一方、有効求職者数が0・4%減ったことが要因。

 奥村英輝(おくむらひでき)局長は「全体的に人手不足の基調があり求人に対する意欲はある」と説明。雇用情勢は「一部に厳しさが残るものの、持ち直しの動きが広がりつつある。今後も物価上昇や新型コロナウイルスが雇用に与える影響に留意する必要がある」として判断を据え置いた。

 全国平均は前月と同じ1・32倍で、本県順位は二つ上がって34位だった。

 季節的要因を除いた原数値は、雇用の先行指標となる県内の新規求人数が前年同月比2・4%減の1万3024人と3カ月ぶりに減少した。

 産業別に見ると、医療・福祉が17・8%増の3703人で9カ月連続の増加。慢性的な人手不足により、病院や保育園などから幅広く求人が出されたほか、北関東を中心に広域展開する児童福祉業の複数の事業所から保育士などの求人があった。

 製造業は3・6%減の2025人。半導体不足の影響による非鉄金属製造関連の募集休止などで減少した一方、自動車部品製造会社からの増員求人などがあった。新規求職者数は前年同月比で4・4%減の8017人。離職者が減少したことなどが要因とみられる。

完全失業率2.6% 3カ月ぶり改善 全国・4月

 総務省が30日発表した4月の完全失業率(季節調整値)は、前月比0・2ポイント低下の2・6%だった。3カ月ぶりに改善した。新型コロナウイルス感染拡大が落ち着く中、賃上げの機運が高まっており、新たに働き始めた人が増えたことなどが背景。担当者は「仕事を辞めた人も就職できているとみられる。この状況が続くかどうか注視していく」としている。

 厚生労働省が同日発表した4月の有効求人倍率(同)は、前月と同じ1・32倍で横ばいだった。原材料費や光熱費の高騰により、建設業や製造業など一部の産業で求人を控える動きが出ているとみられる。

 総務省によると、就業者数は、前年同月比14万人増の6741万人。新型コロナ感染拡大前の2019年4月の6732万人を上回った。正社員数は前年同月比13万人増の3664万人で、比較できる13年以降で過去最高となった。