栃木労働局は29日、来春卒業する県内高校生の10月末時点の就職内定状況を発表した。内定率は前年同期比0・8ポイント増の84・5%となった。新型コロナウイルス禍からの緩やかな回復傾向が見られ、藤浪竜哉(ふじなみたつや)局長は「順調な滑り出し。高校生が就職しやすい環境にある」と説明した。

 求人倍率は0・58ポイント増の2・70倍。求人数が増え、求職者数は減った。記録が残る1997年以降で最高を更新した。

 求人数を見ると、15・7%増の7711人だった。産業別では、宿泊業・飲食サービス業が29・2%増となったほか、サービス業は28・8%増、製造業も22・7%伸びた。前年度までのコロナ禍の影響からの回復傾向がうかがえるという。

 

 事業所の規模別では、従業員数29人以下が21・3%増、30~99人が17・4%増とそれぞれ大きく伸びた。これに対し、千人以上は5・4%減だった。

 藤浪局長は「小規模な事業所ほど、人材確保に苦労する様子が見られる」と分析した。

 一方、求職者数は9・2%減の2856人となった。生徒数の減少に加え、進学希望者が増えたことが影響しているとみられる。

 栃木労働局は、大学・短大新卒者の10月末時点の就職内定率も発表した。大学新卒者は前年同月比1・1ポイント減の59・6%。短大新卒者は0・3ポイント減の39・3%となった。

 短大については、保育士などの国家資格取得に必要な実習時期がコロナ禍の影響で遅れていることが要因という。今後の見通しは大学、短大ともに「順調に回復する」(藤浪局長)としている。