インターネットやSNSを通じて、子どもでも性に関する情報が簡単に入手できるようになった。家庭での性教育が注目される中、宇都宮市の市民サークル「マザーズガーデンあすなろ」(大音知子(おおとともこ)代表)は、生と性に向き合うワークショップ「『No』と言える力をつける・受けとめるための10のポイントつたえます」を市内で開講。思春期の心や体の変化を踏まえ、家族と性について話し合える関係づくりのポイントを紹介している。
講座は大人・中高生向けで9~11月、市内各地で開催。家庭での性教育についてまとめた書籍「おうち性教育はじめます」などを企画したエディター・心理カウンセラーの栃木(とちぎ)さおりさんが講師を務める。
栃木さんは女性の6人に1人、男性の12人に1人が恋人間の暴力「デートDV」の被害に遭ったとの事例を示した上で、好きな人や憧れの人に嫌われたくないという思いから自分が不快と感じる行為も受け入れてしまうことがあると説明した。子どもが性被害の被害者・加害者になるのを防ぐには、「自分にとって嫌な行為が何なのかを知り、夫婦や家族にも『No』と伝え合うことで相手の思いを尊重できるようになる」と強調した。
大人は「性=快楽・恥ずかしいもの」と考えがちだが、「『性=科学』と捉えて客観的に説明すると大人は受け入れやすく、子どもも理解しやすい」と栃木さん。例えば胸やお尻、性器といったプライベートパーツについて、生命とつながる大切な部分だから家族や友人にも安易に見せたり触らせたりしてはいけない、好きな人でも触れあうには同意が必要-とした。
また、思春期になると第2次性徴によって心身ともに不安定になりやすい一方、更年期を迎える母親側もホルモンバランスが崩れやすくなるため、親子で折り合いが付かないことも増えてくるという。栃木さんは子どもの自己主張を受け入れることも必要だとし、そのためにも親子それぞれどんな行為が嫌なのかを客観的に分析しながら、「私は○○(が嫌)なので、こういう風にしてほしい」などと伝え合うことが大切だと話した。
大音代表は県の「とちぎ性暴力被害者サポートセンター」(愛称・とちエール)など万が一の際の相談窓口を紹介した上で、「今後もワークショップを開き、自分や相手の思いを大切にしながら生や性について話し合える“性の予防教育”を広めたい」と語った。