第1部 普通救命講習

 講師 宇都宮中央消防署

第2部 避難所生活体験プログラム「避難所の設営」

 講師 NPO法人栃木県防災士会

第3部 避難所運営ゲーム

 講師 NPO法人栃木県防災士会

 

行動力のある防災・減災のリーダーを目指して

 10月20日にスタートした2018年度の「とちぎ防災マスター育成講座」もいよいよ最終回。11月24日、第3回講座の会場となるニューみくら体育館に、トレーニングウエアなどのラフな服装に身を包んだ受講者たちが集まりました。ダウンジャケットを着込んでいる人や、大振りなリュックサックに上着や膝掛けをぎっしりと詰め込んできた人もいます。受講者の皆さんがしっかりと防寒対策をしているわけは、この日の講義内容。約3時間の普通救命講習の後に、避難所に見立てた体育館に就寝スペースを設営。災害用非常食を食べて、体育館に1泊し、避難所生活を実体験するというプログラムです。広々とした体育館の朝夕の冷え込みも心配ですが、「ぜひ一度、避難所生活を体験したいと思っていました」「地域の防災訓練などではなかなか経験できないプログラム。体験したことを地域の皆さんに伝えたい」など、期待に顔を輝かせる受講者たち。その防災意識の高さには驚かされます。

 

 まず第1部は、宇都宮中央消防署の署員が講師を務め、普通救命講習が行われました。「救急車が到着するまでにするべき応急手当と救命処置」をテーマとしたDVDを観た後に、全員が蘇生訓練人形を用いて心肺蘇生法とAEDによる電気ショックを実践。傷病者を発見したところから、心臓マッサージと人工呼吸、AEDによる救命処置を行い、救急隊員へと引き継ぐ一連の動作を繰り返し行い、最後に受講者全員に普通救命講習修了証が手渡されました。

 

 

 10分間の休憩を挟んで行われた第2部は、避難所の設営です。栃木県防災士会の精鋭がアドバイスをしながら、体育館のフロアに受講者約30名分の就寝場所を確保し、段ボール製のベッドやパーティション、更衣室を組み立てました。時間はすでに17時半。救命講習からずっと体を動かし続けてきた受講者たちのお腹はペコペコです。お待ちかねの夕飯は、アルファ化米と鯖の味噌煮缶。おそるおそる袋を開けて赤飯を口にした受講者は、「思ったよりもおいしい」と一言。「食べ応えも十分、我が家でもストックしておきたい」と、稲葉理事長に非常食の入手方法を尋ねる受講者もいました。

 

 

 そして最後の講義は、カードを使って避難所運営をシミュレーションする「避難所運営ゲームHUG」。避難者の年齢や性別、国籍、事情が書かれたカードを、避難所に見立てた平面図上に適切に配置していくゲームです。4つのグループそれぞれに、これまでの講義で得た知識や対応法を活用し、ディスカッションを重ねながら、時間内にすべてのカードを配置して避難所を完成させました。

 

 

 その後は、クジにより就寝場所を決めて、21時半に就寝。翌朝は6時に起床してラジオ体操、特製の野菜スープと非常用缶入りパンの朝食の後に避難所を片付けました。一晩を体育館で過ごした受講者は「それほど寒さは感じなかった」「パーティションがあっても、やはり他人の目が気になった」「本当の避難所は、もっと厳しい環境だと思います。経験してよかった」などの感想を話してくれました。受講者や防災士会のメンバーと共に体育館(避難所)に宿泊した稲葉理事長は「今回の避難所はかなり快適でした。受講した皆さんには、防災マスターとして、災害時に地域で真っ先に声を上げられる存在になっていただきたいと思います」と、防災マスターへの期待を伝えました。

 本講座(全3回)を受講した方々には、JA共済連栃木より修了証が授与されました。

 

講師インタビュー

NPO法人栃木県防災士会 理事長 稲葉 茂さん

 

 防災マスター育成講座も3年目を迎え、今回はとてもスムーズに進行することができました。初年度と比べると防災士の認知度も上がり、受講生の中にも防災士の資格を持っている人が何人か見受けられました。グループワークの「災害図上訓練」や「避難所運営ゲーム(HUG)」では、経験者が積極的にリードしてくれたお陰もあり、とても内容の濃い実践学習となったと思います。

 私たちの栃木県防災士会には、防災士資格を取得した方から「もっとスキルアップしたい」という声が寄せられています。災害への備え、対応法などはどんどん進化していますし、最新の情報も知っておく必要があります。災害時にリーダーとして真っ先に声を上げられる防災士となるために、ぜひ防災士の資格を取ったら栃木県防災士会にご入会いただき、私たちと共に学び続けていただきたいと思います。学んだ知識を地域の防災力アップに存分に役立ててください。

 

受講者インタビュー

小山市在住

春山 信行さん

 

 約40年間消防団員を務め、現在も現役で活動しています。救命処置については講習を受けていますが、今回の防災マスター育成講座を受講したことにより災害全般に関するさまざまな知識を身に付けることができました。小山市は、平成27年の関東・東北豪雨により水害を被りました。その時、私は木工業を営んでいるので、すぐに筏(いかだ)を作って住民の救出に向かいました。講義で教えていただいた通り、災害が起こる前にあらゆる状況を想定し、学んでおくことが重要だと実感しました。今回の講座で身に付けた知識を忘れず、いざという時に迅速に動けるよう備えたいと思います。

 

YKさん

 災害にどう対応したらよいのかを学びたいと思い、防災マスター育成講座を受講しました。ここ数年、地震や台風、大雨など、災害が多いと感じています。子どもが3人いるので、いざという時に家族や自分自身をどう守ったら良いのか、大きな不安を感じていました。全3回の講座を受講しましたが、実践的な内容が多く、どんな備えが必要なのかもよく分かりました。グループ実践では、自分とは立場が違う人たちのいろいろな意見や考え方が、とても参考になりました。最後の避難所生活体験プログラムで体育館に一泊したのも、良い経験だったと思います。段ボールベッドは思った以上に快適で、ぐっすり眠ることができました。