栃木労働局は28日、3月の県内有効求人倍率(季節調整値)が前月より0・01ポイント上昇し、1・20倍となったと発表した。有効求人数が0・4%増加した一方、有効求職者数は0・2%減少したことが要因。

 奥村英輝(おくむらひでき)局長は「製造業や、新型コロナウイルスの行動制限緩和を受けた宿泊業・飲食サービス業など幅広い業種で求人があり、持ち直しの動きが見られる。一方で、今後も物価上昇などが雇用に与える影響に留意する必要がある」と述べた。

 全国平均は0・02ポイント減の1・32倍で、本県順位は三つ上がって36位だった。雇用情勢判断は据え置いた。

 季節的要因を除いた原数値は、雇用の先行指標となる県内の新規求人数が前年同月比4・0%増の1万5173人と、2カ月連続で増加した。

 産業別に見ると、公的医療機関や有料老人ホームの新設を控えた求人などがあった医療・福祉が12・9%増の4027人と、8カ月連続で増加した。卸売業・小売業は4・9%増の1839人。日用品などを扱う卸売会社の物流センターのオープニングスタッフなどの需要があった。

 一方、建設業は13・8%減の1515人で、2カ月ぶりに減少した。昨年同月は大口受注の企業から求人があったため、その反動減となった。業界的には、慢性的な人手不足が続いているという。

 新規求職者数は4・1%減の6828人で2カ月ぶりに減少。労働人口の減少の影響や、新型コロナウイルス禍からの経済再開で現在の職場に留まる人が増えているという。

全国 1.32倍、3カ月連続低下

 厚生労働省が28日発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0・02ポイント低下の1・32倍で、3カ月連続で前月を下回った。物価高や光熱費上昇の影響で、一部産業で求人を控える動きが出たとみられる。

 3月の新規求人数を主要産業別で見ると、製造業は前年同月比8・0%減、建設業は6・3%減だった。新型コロナウイルス禍からの需要回復で大幅な増加傾向が続いていた宿泊・飲食サービス業も、5・9%増にとどまった。

 総務省が同日公表した3月の完全失業率(季節調整値)は前月比0・2ポイント上昇の2・8%で、2カ月連続の悪化だった。担当者は、より良い仕事に就くための自己都合離職が増え、事業主都合の離職も増えたとしている。男女別の完全失業率は、男性が前月比0・1ポイント悪化の3・0%、女性が0・2ポイント悪化の2・5%。完全失業者数は前年同月比13万人増の193万人だった。