栃木労働局は28日、9月の県内有効求人倍率(季節調整値)が前月比0・04ポイント増の1・22倍となったと発表した。有効求人数が増え、有効求職者数が減ったことが要因。1・2倍を超えるのは、2020年2月以来2年7カ月ぶり。19年は1・3倍を超えており、新型コロナウイルス禍前の水準には回復していない。同局は「雇用情勢は一部厳しさが残るが、持ち直しの動きが広がりつつある」との基調判断を据え置いた。

 全国平均は0・02ポイント増の1・34倍。本県は36位で前月より順位を一つ上げた。

 電気料の高騰に伴い一部業種で生産を抑える動きもあり、同局の藤浪竜哉(ふじなみたつや)局長は「新たには雇わないという動きにつながる可能性もある。物価上昇が雇用に与える影響について留意する必要がある」と話した。

 季節的要因を除いた原数値では、雇用の先行指標となる県内の新規求人数が1万5553人と前年同月より17・1%増えた。

 産業別で見ると、宿泊業・飲食サービス業は172%増の1039人で19年の水準に回復。本県開催の国体や秋の行楽シーズンの需要を見越し、前年はコロナ禍で求人を出していなかった宿泊施設からも求人があった。卸売業・小売業と生活関連サービス・娯楽業も観光客増により増加した。

 新規求職者は1・1%増の6404人。伸び率は前月よりさらに鈍化し、高止まりの傾向が見られるという。一方、物価高に伴い職を求める動きも想定され、同局は引き続き動向を注視していく方針。