
栃木労働局は29日、6月の県内有効求人倍率(季節調整値)が前月から0・01ポイント増の1・16倍となったと発表した。2カ月ぶりの上昇となった。有効求人数が0・7%増加した一方で、有効求職者数が0・8%減となったことが要因。
全国平均は0・03ポイント増の1・27倍で、本県の順位は一つ下がって38位となった。有効求人数は4万166人、有効求職者数は3万4545人。
季節的要因を除いた原数値では、雇用の先行指標となる県内の新規求人数が前年同月比9・2%増の1万4687人だった。同局の藤浪竜哉(ふじなみたつや)局長は「引き続き堅調に推移している。7月に入り新型コロナウイルス感染者数が増加し、宿泊施設などから客足が遠のいているという声も聞くので、今後の求人への影響を注視したい」と話した。
業種別では、製造業が11・6%増加し、1年4カ月連続で前年を上回った。健康食品や医療機器製造の求人が多く提出されたという。宿泊業も、観光客や修学旅行客の増加により77・2%増と大きく伸びた。飲食業は外食需要の増加に伴う求人提出などにより49・2%増えた。
新規求職者数は1・4%減の6486人。新型コロナの感染拡大を踏まえ、藤浪局長は「今後の求職活動への影響も注意深く見る必要がある」と述べた。
6カ月連続 全国も改善 失業率は横ばい
厚生労働省が29日発表した6月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0・03ポイント上昇の1・27倍となり、6カ月連続で改善した。訪日外国人観光客の受け入れ再開などで宿泊・飲食業を中心に求人が増え、求職者数を上回ったことが要因。厚労省は「7月以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響が出る可能性がある」と警戒している。
総務省が同日発表した6月の完全失業率(季節調整値)は前月と同じ2・6%で横ばい。
一時的に仕事に就かない休業者は157万人で、コロナ感染拡大前の19年6月(148万人)以来の水準まで減った。総務省は「休業者は減少傾向にあり、休業を余儀なくされていた企業の状況が緩和されている」と分析した。
有効求人倍率は求職者1人当たりの求人数を表す。新規求人を主要産業別で見ると、宿泊・飲食サービス業が前年同月比で30・9%増。コロナの影響を強く受けた産業で大幅な改善が見られた。