新型コロナウイルスの影響は、立場が弱い女性の雇用環境をさらに悪化させた。2日公表の労働力調査によると、1月の女性就業者数は前年同月比20万人減の2950万人。非正規労働者の雇い止めに加え、育児や介護で退職を余儀なくされる事情も目立つ。3月8日は国際女性デー。コロナ禍で起きた“女性不況”への対応は、国際社会の共通課題となっている。

◇    ◇

 「我慢を強いられるのはいつも女性」。東京都内のアパートで30代の無職女性は長男(4)を抱いてつぶやいた。昨年5月に退職するまで看護師として病院に勤務。コロナ疑いの患者も運ばれ、医療用マスクなど資器材が乏しい中で働いた。

 だが、感染者の増加で保育園が受け入れを制限すると状況は一変。人手不足の勤務先からは出勤を懇願され、会社員の夫に交代で仕事を休もうと頼んだが「子どもの世話は母親の役目」と取り付く島もなかった。

 保育園が制限を解除しても、感染拡大のたびに同じことが繰り返されるのは明らか。「看護師不足でも優先的に求められるのは母親の仕事。一番重要な時に働けないでなんのための資格なのか」。やり切れない思いを抱え、同じように子育てで満足に働けない同僚と退職を選んだ。

 1月の労働力調査によると、女性の完全失業率(季節調整値)は2・6%と最悪期こそ脱したが厳しさは続く。非正規の女性は前年同月比68万人減の1407万人。減少幅は男性の3倍超で、休業者数も136万人と男性の1・3倍に当たる。

 野村総合研究所の推計では、シフト回数がコロナ前の5割以下で休業手当も受け取っていない「実質的失業者」に当たるパート・アルバイトの女性は103万人。非正規への影響は特に深刻だ。

 労働政策研究・研修機構の調査では女性の4・6%が自発的に退職。そのうち約4人に1人は再就職や求職活動をせず「非労働力化」も進む。

 国際通貨基金は昨年7月、「コロナの大流行がジェンダー格差を拡大させる恐れがある」とするリポートを発表。国連もコロナ対策に女性の視点を加えるよう求める報告書をまとめた。国内でも内閣府の有識者検討会や与野党が、非正規女性やひとり親への支援策を相次いで提言。テレワーク実施率や家事・育児時間でも男女差があり、厚生労働省幹部は「このままポストコロナを迎えると雇用面の差が拡大しかねない」と危機感を募らせる。