地方にある企業の採用活動を巡り、新型コロナウイルス感染拡大によるピンチを打開しようとする動きが出ている。卒業後のUターンを促す夏の帰省という好機をつかみあぐねる中、一部自治体は学生が地元に戻らず会社とやりとりできる「バーチャル説明会」など、オンラインを活用する。売り手市場が一変し、中小企業志向の人が増えるとの見方もあるためだ。

「バーチャル京都ジョブ博」のイメージ画面(京都ジョブパーク提供)

 京都府などは、就活生向けに地元企業がオンライン上に集まる「バーチャル京都ジョブ博」を9月に開催する。参加企業は延べ約130社。仮想空間を活用し、学生らがスマートフォン上で自身のアバター(分身)を動かして興味のある企業ブースを訪ねると、テレビ会議システムによって担当者とやりとりできる。

 仮想空間の画面上は、円形の会場の壁に沿って各社のブースを設け、中央のフリースペースは企業担当者だけでなく「ライバル」となる他の学生のアバターも表示される仕掛けとなっている。同スペースでも企業のアバターとチャットが可能で、大会場さながらの臨場感も演出。1人自宅で就職活動をする孤立感から抜け出す「効果」もありそうだ。

 熊本県は6月に「デュアル合同企業説明会」を実施した。3密(密閉、密集、密接)を避けて椅子や机を配置。ブースでは来場者とマスク姿で対面し企業PRをするほか、それぞれにパソコンを設置してオンラインでの参加も呼び掛けた。学生の来場者31人に対してオンラインでの参加は93人だった。様変わりした説明会に、担当者は「県外に住む人にも県内企業を広く知ってもらえた」と手応えを語る。

 夏の対面式の合同説明会は、採用にコストを割けない中小企業にとって多くの学生に出会える重要な場。会わないと熱意が伝わりづらいと悩む企業も少なくない。島根、徳島両県などではコロナ感染拡大によって8月中旬に準備していた対面型の合同説明会が中止に追い込まれた。「ふるさと島根定住財団」の担当者は「採用ゼロの企業も出かねない」と不安を口にする。

 チャンスがないわけではない。コロナ禍が続く中、リクルートワークス研究所が今月6日に公表した推計結果では、千人未満の企業を希望する学生数は前年比で約1・5倍となった。京都府人材確保推進室の森川浩行(もりかわひろゆき)参事は「オンラインに距離は関係ない。他府県に住む学生も説明会に参加してほしい」と意気込む。