厚生労働省が31日発表した2月の雇用情勢判断で、2013年5月分以来、6年9カ月ぶりに「改善」の言葉がなくなった。新型コロナウイルスの影響を考慮した。厚労省が同日発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は1・45倍で、1・49倍だった前月から0・04ポイント低下し、2カ月連続の減少となった。1・45倍まで落ち込んだのは2年11カ月ぶり。

 

 新型コロナウイルスの影響に関し厚労省は「観光関連業などで解雇や休業といった動きがある」とする一方、「全体の水準に影響を及ぼすまでにはなっていない」と説明した。ただ、宿泊業やバス運転手といった業種は、今年2月の新たな求職者が前年同月比で大きく伸びており、新型コロナウイルスに伴う業績悪化が影響したとみられる。

 米中貿易摩擦の影響もあり、製造業などは以前から求人の低下傾向が続いている。今年1月から求人票の記載項目が増え、昨年12月に駆け込みで募集したり、募集を見送ったりした企業があったことも一因という。

 求人票の見直しの影響を除いた有効求人倍率は、1・52~1・53倍と試算した。

 有効求人倍率は求職者1人当たりの求人数を示す。都道府県別では東京都が1・96倍で最高、神奈川県が1・06倍で最低だった。

 一方、総務省が31日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は2・4%で、前月と変わらなかった。完全失業者数は前年同月比で3万人増えて159万人となり、4カ月ぶりに増加した。

 総務省の担当者は、新型コロナウイルスに関し「今回の調査では雇用に影響は見られなかった」とした。ただ「宿泊や飲食、製造や小売りなどの業種で今後、かなり影響が出てくる可能性がある」と分析した。今回の調査は2月23~29日の状況を反映している。

 男女別の失業率は、男性が2・6%で前月比0・2ポイントの悪化、女性は2・2%で横ばいだった。

解雇や雇い止め1000人超

 厚生労働省は31日、新型コロナウイルスによる業績悪化などで、解雇されたり雇い止めされたりする見込みの人が、30日時点で1021人に上ったことを明らかにした。観光バス事業や宿泊業が多く、地域では成田空港があり訪日外国人客向けの観光産業が盛んな千葉県や、中小企業が多い大阪府が中心。

 企業が従業員を休業させた場合に支給する「雇用調整助成金」に関連する相談は同日時点で3825事業所から寄せられている。観光バス事業、宿泊業に加え、製造業からの相談も多い。

 厚労省の担当者は「(雇用調整助成金の活用を検討するなど)雇用維持に向けて努力をしている事業所が多い。なるべく踏みとどまっていただきたい」と話している。

 1月31日以降、各地の労働局を通じて集計。今春卒業する学生らの内定取り消しは30日時点で22件33人になった。