感染予防協力の看板の横を通り、就活フォーラムに入る学生ら=さいたま市

 新型コロナウイルスの感染拡大が、2021年卒業予定の大学生らの就職活動に影を落としている。不安を抱く学生、対応に追われる企業を取材し、専門家にアドバイスを聞くとともに、就活を巡る新たな動きも追った。

 2月下旬、さいたま市で開かれたキャリタス就活フォーラム。入り口に体温検知用のサーモグラフィーを設置する警戒態勢の中、多くの学生が訪れた。主催した就職情報会社の担当者は「予想を上回る参加。企業と接点を持つ貴重な機会と捉えてもらえた」と喜んだ。

入り口では、サーモグラフィーで参加者の体温を測定していた=さいたま市

 大手就職情報サイトのリクナビとマイナビが、感染リスクを考慮し、合同企業説明会などを全国で中止に。愛媛県から来た女子学生(21)は「大手のイベントがなくなり、東京の大学などで就活が既に進んでいる人と差がつくのを心配している」と不安げに語る。

 フォーラムでも参加者がマスク着用を推奨されるなど、感染問題が波及していた。ブースでお目当ての企業から説明を受けた埼玉県の女子学生(21)は「元々、声が小さいので、マスク越しで企業の人にやる気をアピールできるか心配。かといって感染は怖いし…」と複雑な思いを漏らした。

 企業の動向も不確定要素が多い。会場で就活生に対応していた関東地方の外食チェーンの採用担当者は「採用スケジュールを組み直している状態だ」と明かした。

学生や企業の採用担当者らのマスク姿が目立った就活フォーラム=さいたま市

 採用コンサルタントの谷出正直(たにで・まさなお)さんが2月中旬に行った調査では、対象の80社の半数以上が、感染拡大の影響で採用活動を「変更する」「変更を検討する」と回答。具体的には「就活生との社員座談会は中止」「2次選考はグループワークから個別面接に切り替え」など、集団感染リスクを避ける措置が目立った。

 谷出さんは就活生に「今年は情報収集がより大事になる。いつでも動けるような準備を」と呼び掛ける。加えて「その会社がどんな感染対策をしているかなど、労働環境を見極める機会にもなるはずだ」と指摘した。

 一方、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の平野恵子(ひらの・けいこ)所長は、今年は東京五輪開催の影響で例年以上に採用の早期化を望む企業が多いとみる。「年明けから動きだした出遅れ気味の学生は、志願できる企業が減った中で就活に臨まなくてはならないだろう」と予測する。

 学生に負担がかかる恐れを懸念し、「徹夜で焦ってエントリーシートなどを書き、体調を崩しがちな学生も多い。感染リスクを下げるためにも、計画性を持って、まずは健康的な生活を送ってほしい」と助言している。