封を開けて哺乳瓶に移し換えれば、すぐ授乳できる

 粉ミルクの代用品となる乳児用液体ミルクが国内で発売されておよそ半年。大手コンビニでも取り扱いが始まった。当初は災害発生時の備蓄品としてクローズアップされたが、外出時などに活用しやすいと口コミが広がり、新たな育児アイテムとして浸透し始めている。

店舗入口に設けられた液体ミルクの特設コーナー=ベビーザらス宇都宮店

 

 液体ミルクが知られるきっかけになったのは、2016年に発生した熊本地震。フィンランドから救援物資として被災地に届けられた。被災現場ではミルクを作るための熱湯の確保が難しい上、母親もストレスで母乳が出なくなるケースもあり、利便性の高さが注目された。

 国内では3月に販売が始まり、現在は江崎グリコと明治の2社が発売している。無菌処理された特殊な紙パックや缶入りで、6カ月~1年ほど常温保管できる。紙パックタイプの液体ミルクなら、付属のストローを使って哺乳瓶に移し替えるだけだ。

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 ベビー用品店「ベビーザらス宇都宮店」は、店頭に特設コーナーを設けて液体ミルクをPR。中原由美子(なかはらゆみこ)副店長は「売れ行きは想定の2~3倍」と驚いている。「備蓄品のイメージがあるが、実際には病気などで母乳をあげられない時や、お出掛けの時に使う人が多いのでは」

 発売当初は目新しさから在庫が少なくなる時期もあったが、粉ミルクと比べると割高なことから、粉ミルクの売れ行きに影響はないという。

 宅配サービスのコープデリは4月上旬、乳幼児向け商品カタログで取り扱いを始めた。とちぎコープなどが加盟するコープデリ連合会によると、個人で輸入している家庭もあったことなどから、メーカーと交渉を進めていたという。県内での販売実績は6月下旬までで200点ほどだが、「普及の意味も込めて販売を続けたい」としている。

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 産院などで調乳指導を行う江崎グリコの栄養士平山裕子(ひらやまゆうこ)さんは「液体ミルクの登場で、授乳の選択肢が広がった」と話す。

 10カ月の男児を持つ宇都宮市の女性は、外出時に液体ミルクを持ち歩くことが増えたという。「哺乳瓶やお湯を持ち歩くのも、出先でミルクの準備をするのも大変。お出掛けが楽になった」と喜ぶ。

 平山さんは「調乳に慣れていない家族に預ける時にも便利」と太鼓判を押す。6カ月の女児を育てる同市西川田本町、会社員神長恵未(じんちょうめぐみ)さんは「粉と比べて高いからなかなか手が出ない」が、「家族に預ける時に使ってみたい」と話す。

 「疲れがたまっていたため、夜間の授乳を液体ミルクで代用した」という人も。平山さんは「普段使いは粉、お出掛けや緊急時は液体などとうまく使い分けながら、子育てに役立てて」とアドバイスする。