下野新聞社が3日まとめた県内企業156社の新卒者採用計画アンケートで、来春計画数(回答「未定」の企業を除く)は計2236人と今春実績(1635人)より37%増え、金融・証券を除く各業種で採用枠が拡大した。学歴別では、「大卒」の来春計画数が今春実績より67%増えるのに対し、「短大・高専・専門卒」と「高卒」はそれぞれ4%の減少となる。景況感の持ち直し傾向が続く中、将来を見越した人材確保や業務拡大に向け、企業の採用活動は大卒を中心に積極化しており、学生優位の「売り手市場」がより顕著となっている。

■内定「6~9月」58%  採用活動43%「増やす」

 大学生などを対象とした面接などの解禁は、昨年同様6月1日。今年の採用活動で内定を出す時期を聞いたところ、「6~9月」が58%(91社)で最も多く、「10月以降」の7%(11社)と合わせて全体の65%を占めた。

 一方、解禁前の「3~5月」も19%(29社)あり、業種別に見ると小売りや住宅で多かった。「通年採用」は8%(13社)で、「2月以前」はなかった。

 昨年と比べ内定時期が「同じ」なのは74%(116社)。「早い」14%(22社)、「遅い」4%(6社)だった。

 早い理由は「早めに内定を出し優秀な学生の確保につなげたい」(その他製造)、「学生の動きが早いため」(商社・卸売り)など。遅い理由には「辞退者が多いため内定時期を後ろ倒しし、無駄な内定を出さない」(住宅)などがあった。

 どのような採用活動をしているかの質問(複数回答)では、「合同の説明会や就職面接会に参加」が80%(124社)、「就職情報サイトに登録」が76%(119社)、「単独で会社説明会や見学会を開催」が69%(108社)など。

 昨年との変化(複数回答)については、「(説明会などの)回数など量を増やす」が43%(67社)で最多。「変化なし」が35%(54社)と続いたが、「内容を深める」「活動時期を早める」「新たな活動に取り組む」もそれぞれ2~3割あった。

 内定時期をずらしたり活動の量や質を充実するなど、何とか学生を獲得しようとする企業の切実さが垣間見える。

■事務系 42%増の1601人 サービス業伸び目立つ

金融・証券やや縮小も

 営業職や販売職を含む事務系の採用計画数は1601人で、今春実績比42%増となった。「業務拡大」「将来を見越した人材の確保」を理由とする企業が多い。ただ大卒の59%増の1203人に比べ、短大・高専・専門卒は7%増の129人、高卒は9%増の269人と伸び率は1割にも満たず、企業側の高学歴志向が顕著に表れた。

 業種別に見ると、サービスが77%増の308人、自動車販売が70%増の112人、住宅が57%増の118人、小売りが36%増の540人と目立った。

 小売りではコジマが今春の110人から来春は200人と大幅増を計画。かましんも17人から40人に増やす。自動車販売は今春1人だったネッツトヨタ宇都宮が来春は25人を予定する。

 サービスは、元気寿司が39人から60人に増やす。藤和那須リゾートは4人から25人に大幅増を予定。高卒事務系(技術系含む)を15人採用する予定で、理由に「非正規だった枠を正社員化」などを挙げた。

 金融・証券は今春176人採用の足利銀行が「未定」と回答したが、「前年並み」を予定する。栃木銀行は127人から100人とやや縮小する。大卒事務系は「適正人員の確保・維持」とし107人から80人に減らす。高卒は「地域貢献の一環として」今春と同じ20人の採用を計画する。

■技術系 25%増の635人 機械・金属製造が最多

大卒2倍超高卒21%減 

 技術系の採用計画数は計635人で、今春実績より25%増える見込みだ。事務系より伸び率は低いものの、学歴別で見ると、大卒の伸びが顕著で今春の2倍超の357人となる。これに対し、短大・高専・専門卒は13%減の140人、高卒は21%減の138人で、大卒志向が見て取れる。

 業種別に見ると、全12業種のうち9業種が採用枠を拡大する。最も人数が多いのは機械・金属製造で、今春実績比2%増の194人。ホンダテクノフォートが「前年並み」の100人を計画するほか、ナカニシや三洋製作所、菊地歯車が各10人を予定する。

 自動車販売も伸び率が高く、58%増の103人。ネッツトヨタ栃木は「退職者分を補充」する目的で4人増の10人、栃木ダイハツ販売は短大・高専・専門卒を中心に6人増の13人とする。東京オートは「将来を見越した人材の確保」に向け、6人増の10人を計画する。

 サービスは25%増の148人。オートテクニックジャパンが47人、日本栄養給食協会が28人を予定し、両社とも「業務拡大」や「将来を見越した人材の確保」を理由に挙げる。

 このほか住宅が79%増の25人。建設・土木と窯業・土石製造が各24人。商社・卸売り15人、小売り13人、情報・印刷7人で、食品製造とその他製造は微減するがそれぞれ32人、50人を予定する。

■高卒 407人、流動的 5年連続実績下回る

事務系増も技術減響く

 高卒は、回答企業のうち96社(未定含む)が来春の採用を予定する。採用計画数は、今春実績の422人に対し407人。5年連続で実績を下回った。事務系は269人で9%増えたが、技術系は138人で21%減った。ただ未定や大卒と高卒を区別していない企業もあり、流動的だ。

 業種別では、機械・金属製造の技術系は29人を予定し、今春実績より61%減少。事務系を含めても計46人で52%減少している。その他製造も41%減の24人。技術系が27%減った上、事務系はゼロだった。このほか金融・証券が実績を下回り、情報・印刷は未定が目立つ。

 一方、採用計画数が最も多いのは小売り。事務系を中心に23%増の119人を予定する。次いで飲食・ホテル・観光などサービスが23%増の101人を計画。商社・卸売りも技術系が1人から5人に増え、全体でも倍近い19人を予定する。また食品製造は技術系、事務系とも、自動車販売は事務系でそれぞれ今春実績を上回っている。

 全体では微減傾向にあるが、減らす理由については「中途採用で対応」「人員削減」「退職者が少ない」(いずれも17%)が並んだ。増やす理由は「将来を見越した人材の確保」(87%)が最も多く、「業務拡大」「正社員化」が続いた。