下野新聞社が30日まとめた県内主要企業136社の新卒者採用計画アンケートで、今春実績と来春計画数を実数で比較できる52社の採用予定数が計773人となり、今春実績と比べ7%増加した。学卒別では大卒が20%増、短大・高専・専門卒が19%増と、それぞれ高い伸びを示した一方、高卒は26%減となり3年連続で前年を下回った。景気の回復基調を受け、業務拡大や将来を見越した企業の積極的な採用傾向がうかがえるものの、高卒者にとっては厳しい状況が続いている。

■選考基準/学力より人間性

 採用時に重視する点(二つまで回答可)は、「コミュニケーション能力」を挙げる企業が70%(95社)で最も多かった。「人柄」が41%(56社)、「熱意」が37%(50社)と続いた。

 一方、「学力」と「資格、専門知識」はいずれも7%(10社)にとどまり、学力や専門性よりも人間性重視の結果となった。このほか「行動力」は21%(29社)、「思考力」が10%(13社)だった。

■内定時期/新指針で遅らせる企業も

 大学生などを対象とした会社説明会の解禁がことしから3カ月遅れの3月になった採用活動。内定を出す時期も、昨年より「2カ月遅い」とした企業が13%(17社)、「3カ月遅い」は10%(14社)と、いずれも2桁に上り、時期を遅らせる傾向が見られた。一方で「同じ」とした企業は54%(73社)で最も多かったが、前回調査より24ポイント減った。

 経団連の新しい指針を受け、会社説明会の開始は大学3年生の12月から3月に繰り下げられ、一部の企業で採用スケジュールに影響が出ているとみられる。

 ただ、本県は経団連に加盟していない企業がほとんど。指針に縛られず、逆に内定時期を1~4カ月以上早める企業も計10%(14社)あった。また6%(8社)が通年で採用するとした。

 具体的な内定時期としては「4~7月」が最多の40%(54社)。次いで「8~9月」が32%(43社)で、「10月以降」は14%(19社)だった。

 指針では内定解禁は10月のままで、全国の流れを受け県内もこれまでにない短期決戦となっている。学生優位の「売り手市場」の下、企業側は内定辞退にも対処しなければならず、優秀な人材をできるだけ早く確保したい本音も垣間見える。

■事務系/金融・証券伸び目立つ

 営業や販売職を含めた事務系の来春採用計画数は0・6%増の495人。大卒が15%増の362人、短大・高専・専門卒が9%増の51人だったのに対し、高卒は36%減の82人と明暗が分かれた。より高学歴の新卒者を採用しようとする企業の動向を反映する結果となった。

 業種別に見ると、金融・証券が26%増の144人と伸びが目立った。採用計画数が最も多い小売りは11%減の234人だった。

 栃木銀行は今春実績を33%上回る105人の採用を予定。「将来を見越した人材の確保」や「退職者の補充」を理由に挙げた。足利小山、栃木の両信用金庫も今春実績を上回る採用を見込む。

 小売りはスーパーのかましんが「業務拡大」や「人材確保」を理由に、54%増の40人の採用を計画。同じスーパーのオータニ、たいらやは今春実績とほぼ同規模の採用になりそうだ。携帯電話販売事業を展開するデンソーオートは47%増の28人を見込む。一方、カワチ薬品は高卒の採用を抑制するため、32%減の100人と今春実績を下回る見込みだ。

 住宅はパナホーム北関東と栃木ミサワホームが「人材確保」などから、今春実績の2倍以上を計画。自動車販売は各社とも、今春実績並みとする回答が目立った。

■技術系/4年連続実績上回る

 技術系の来春採用計画数は19%増の278人。高卒が8%減った一方、大卒が41%、短大・高専・専門卒が25%増えた。採用計画数が前年実績を上回るのは4年連続。将来の人材確保に向け、採用を積極的に拡大しようとする傾向が鮮明になった。

 業種別では、計画数が最も多いサービスが24%増の100人。自動車販売は専門卒を中心に32%増の54人を見込む。建設・土木も75%増の14人を予定する。

 サービスでは、ホンダの開発関連を担うオートテクニックジャパンが22%増の50人を計画。日本栄養給食協会は24%増の36人を見込む。

 自動車販売では、栃木ダイハツ販売が「業務拡大」のため倍増の12人を予定するなど、消費税増税による販売反動減から攻めに転じようとする姿勢が見える。

 住宅のグランディハウスも「業務拡大」を理由に、大卒で66%増の10人を予定。建設・土木では、中村土建が「将来を見越した人材の確保」のため60%増の8人採用に動く。

 その他製造の小野測器宇都宮は「退職者の補充」や「将来を見越した人材の確保」を理由に、大卒を約4倍増の15人に設定。砕石製造のオーリスも「将来を見越した人材確保」のため、大卒を中心に倍増の8人を計画している。

■高卒/大幅減も改善の余地

 大卒や短大・高専・専門卒の採用計画が今春実績を上回る中、高卒は3年連続で下回った。来春の採用計画数は151人で、204人を採用した今春と比べて26%の大幅減となった。

 比較可能な52社のうち、採用を増やす企業が7社なのに対し、減らすのは11社。「先行き不安」や「パートなど正社員以外で対応」などを理由に挙げた。高卒を今春採用した企業のうち4社が採用を見送り、今春に続き予定がないとしたのは21社に上った。

 系統別では、技術系が69人で8%減、事務系は82人で36%減となり、事務系の落ち込みが顕著だった。

 業種別で見ると「増やす」のは金融・証券(24人)、窯業・土石製造(5人)、商社・卸売り(5人)のみ。事務系で33%増の20人を採用するとした栃木銀行は「将来を見越した人材の確保」のためと答えた。

 一方、採用規模が大きい小売りは52人で44%の大幅減。出店計画に合わせて採用を行っているカワチ薬品が今春実績の36人から5人に減らしたことが響いた。自動車販売は77%減、建設・土木が43%減。住宅、情報・印刷は今春に続き採用予定はないとした。

 しかし近年、本県の高校生内定率が上向き傾向であるのに加え、採用を「未定」としている企業が多いことから今後、採用数が伸びる可能性もある。