
栃木労働局は30日、5月の県内有効求人倍率(季節調整値)が前月と同じ1・21倍となったと発表した。有効求人数は0・1%増加したが、有効求職者数が0・2%減少したため、横ばいとなった。奥村英輝(おくむらひでき)局長は「物価上昇などさまざまな要因を事業者は考慮していると思われるが、全体的に求人数は上向きの基調」と説明した。
雇用情勢は「一部に厳しさが残るものの、持ち直しの動きが広がりつつある。今後も物価上昇や新型コロナウイルスが雇用に与える影響に留意する必要がある」とし、判断を据え置いた。
有効求人倍率の全国平均は前月より0・01ポイント減の1・31倍で、本県順位は一つ下がって35位だった。
季節的要因を除いた現数値は雇用の先行指標となる県内の新規求人数が前年同月比1・6%増の1万2903人で、2カ月ぶりに増加に転じた。
産業別では製造業が22・5%減の1728人で、2カ月連続の減少。前年は自動車製造会社の増産計画に伴う期間従業員の大量求人や、医療用機器製造会社から工場増設に伴う求人があったため。
宿泊業・飲食サービス業は3・2%増の850人で、3カ月連続の増加。特に飲食業は外食チェーン店のライン増設に伴う増員もあり、14・7%増えた。
全国は1.31倍 2カ月ぶり低下
厚生労働省が30日発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月を0・01ポイント下回る1・31倍で、2カ月ぶりに低下した。旅行や外食の需要回復で宿泊・飲食サービス業の求人数が伸びる一方、物価高や光熱費の高騰が響き、製造業や建設業で求人を控える動きが続いている。
総務省が同日公表した完全失業率(季節調整値)は、前月と同じ2・6%だった。
5月の新規求人数を主要産業別で見ると、製造業が前年同月比5・4%減、建設業が0・8%減だった。一方、コロナの5類移行や訪日客増加で、宿泊・飲食サービス業は13・5%増だった。