栃木地方最低賃金審議会(会長・杉田明子(すぎたあきこ)弁護士)は5日、本年度の本県地域別最低賃金を1時間当たり1円(0・12%)引き上げ854円に改定するよう、栃木労働局の浅野浩美(あさのひろみ)局長に答申した。2016年から4年連続で3%台の上昇が続いていたが、新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢の悪化が影響し、04年以来の水準に落ち込んだ。

 10月から適用される見通し。各都道府県の地方審議会が審議の参考とする中央最低賃金審議会は7月、リーマン・ショック後の09年以来11年ぶりに引き上げの目安額を示さなかった。

 栃木地方最低賃金審議会は3回の専門部会を開いて調査、審議した。

 同部会に出席した労働者、使用者の代表委員によると、労働者側は当初、最低限の生活に必要な賃金水準として連合が算出する金額を根拠に現行の853円から27円の引き上げを求めた。

 一方、使用者側は新型コロナで多くの中小企業が事業の継続、雇用の維持が難しくなっているとして、終始据え置きを主張した。

 労働者側は賃金上昇率や他県の状況を踏まえ、09年と同額の2円まで譲歩したが、双方の主張は折り合わなかった。

 最終的に公益代表委員が示した1円で採決したという。

 労働者代表委員の中島一実(なかじまかずみ)連合栃木副会長は「リーマン後の09年を下回ることは苦渋の決断だった」と述べ、「経済状況が厳しいのも分かるが、このままでは最低賃金が労働者のセーフティーネットとして成り立たなくなる」と危機感を募らせた。

 使用者代表委員で県経営者協会の鈴木健治(すずきけんじ)課長は「中小企業の経営状況はリーマン、東日本大震災の時よりもひどい。据え置きの主張は、県内の経営者に雇用維持を求めるメッセージにもなると思ったが残念」と話した。