全国各地にはそれぞれの特色ある歴史や文化があり、昔からそこで採れる旬の新鮮な産物を使用し、気候風土に適した調理方法で作られ食べられてきた郷土料理があります。
栃木県は内陸の海なし県で、こうした地形や気候条件が食べ物に影響を与えました。山や川の恵みを取り入れると同時に栄養にも配慮した先人の知恵と工夫が詰まった郷土料理。時代とともに変化しながら継承される栃木の郷土料理を紹介します。
皆さんは、どの料理を食べたことがありますか、食べてみたいですか。
親しもう 郷土料理
味わい、地域を深く知る
郷土料理は、地域の風土を色濃く反映しています。郷土料理を味わうことは、自分たちが住む地域を深く知ることにもつながります。
昔ながらの郷土料理には、現在では手に入りにくい食材や道具が必要なものもあるかもしれません。しかし、郷土料理は時代に合わせて変化し、進化してきました。例えば、「しもつかれ」を作る場合、「サケの頭」がなくてもサケ缶で代用するなど、手に入りやすい食材や便利な道具を活用して、ぜひご家庭でも作っていただきたいです。
現在、国は、子どもたちが地域の自然や文化、産業などへの理解を深める有効な手段として、郷土料理を学校給食の献立として提供することを推進しています。学校給食での「しもつかれ」は、酒かすを抜くなどして、子どもでも食べやすいように工夫して提供されています。「子どもの頃に学校給食で食べたことがある」という記憶は、将来、本格的な郷土料理に親しむための有効な橋渡しになるでしょう。
近年は、ご当地グルメも注目を集めています。町おこしの材料として取り上げられることが多いですが、そこにも地域の歴史がしっかりと刻まれています。
宇都宮のギョーザは諸説ありますが、宇都宮市内に駐屯していた陸軍が中国に出兵した際、ギョーザを知り、帰郷して広めたのが始まりという説があります。
また、佐野のいもフライは戦後、繊維工場で働く女性従業員のおやつとして人気が出て、提供する店が増えたといわれています。
なじみのある「郷土の味」がどのように誕生したかを知り、背景を思い浮かべながら味わうのも興味深いものです。これらの「ご当地グルメ」も、近い将来には「郷土料理」と呼ばれるようになるかもしれません。
栃木の郷土料理カタログ
先人の知恵と工夫いっぱい
しもつかれ
栃木県を代表する料理。旧暦の初午(はつうま)を中心に作られる。栃木県だけでなく、埼玉県、茨城県、福島県でも郷土料理としている。鬼おろしでおろした大根に、正月に残したサケの頭、節分の豆、酒かすを加え、食材を使い切るエコな料理としても近年注目されている。
耳うどん
佐野市葛生地区および宇都宮市城山地区に伝わる料理。練った小麦粉で作った形が耳の形に似ていることから「耳うどん」と呼ばれる。耳うどんを食べておくと1年中悪いことを聞かないで済むという言い伝えがある。
かんぴょうの卵とじ
栃木県は国内の生産量の9割以上を占めるほどのかんぴょうの産地。かんぴょうはユウガオの果肉の皮を細長く切ってから乾燥させて作る。この際、上手にむけなかったかんぴょうがもったいないと、汁物に使われたのが「かんぴょうの卵とじ」の始まりといわれる。
モロの煮付け
「ネズミザメ(モウカザメ)」を「モロ」と呼び、しょうゆや砂糖で柔らかく煮付けた料理。貴重なたんぱく源として食べられてきた。
ばんだいもち
日光市栗山地区に伝わる。うるち米を使うのが特徴。甘味噌やじゅうねと呼ばれるえごまの味噌だれを付けて焼いたり、ずんだを付けたもの、イワナを出汁にした汁物に入れたりとさまざまな食べ方が伝わる。
えび大根
沼や湿地、川が多い県南地区では、川エビがよく採れた。冬の常備菜。現在は川エビの代わりに、桜エビが用いられることも多い。
アユのなれずし
宇都宮市上河内地区に伝わる。アユの内臓を取り除いて塩漬けにし、羽黒山の梵天祭りに合わせてご飯と千切り大根を混ぜて仕込み乳酸発酵させた「なれずし」。
ちたけうどん・そば
チタケ(チチタケ)とナスを炒めた汁で食べるうどんやそば。チタケは、独特の香りで主に県央・県北地区で食べられる。
❶❷❸は栃木県、❻は県教育委員会、❺❼❽は藤田特任教授提供。❹は出典農林水産省「うちの郷土料理」画像提供元『ふる里の和食 宇都宮の伝統料理』(柏村祐司/半田久江)

ポストする

















