ビジネスのグローバル化に伴い、県内中小企業で外国人を正規雇用する動きが徐々に広がっている。労働人口が減り、人材確保に苦慮する企業が少なくない中、優秀な外国人を採用できれば即戦力となる。実際に正社員としてどう活躍しているのか、現状を紹介する。

 

 多目的金属フィルターを製造するバンテック(佐野市石塚町)。現在、正社員としてネパールと中国出身の計4人が働く。

 採用の目的は海外展開の拡大だ。すでに中国、タイに製造拠点を構える同社は、新市場開拓を進めている。「語学に堪能な日本人は確保しにくい」(大島徹(おおしまとおる)社長)こともあり、海外人材に着目したという。

 業務部で働くネパール出身ラズ・サプコタさん(30)もその一人。大学でITなどを学び、2013年春に入社した。技能実習生と違い、社員として海外展開に携わる。企業とのやりとりやオンライン宣伝を担当するほか、社長に同行し展示会に臨み、商談では交渉も行う。大島社長は「要望にどう応えればいいかよく分かっているので、スムーズにやりとりできる」。サプコタさん自身、「海外からの引き合いも増え、やりがいを感じている」。

 一方、各種電子機器開発製造のアール・ティー・シー(上三川町)では、中国出身の2人が活躍している。入社6年目の技術部主任、劉大鵬(りゅうだいほう)さん(43)と入社5年目の管理部購買課リーダー、郭暁光(かくぎょうこう)さん(39)だ。2人とも宇都宮大大学院修了などの経歴を持つ。

 劉さんは企業説明会で同社を知り、事業内容や会社で何ができるか、可能性も含めて入社を決めた。長年研究してきた化学の知識を生かした商品開発などに携わっている。「大手と違い、中小企業は何でもやるので成長できる」と劉さん。郭さんも、率先して人前に出る姿勢が、社内に活力を与えているという。

 同社は今後、海外展開を本格化させ、海外人材も増やしていく方針。櫻井仙長(さくらいのりなが)社長は「柔軟な考えを持ち、前向きに課題解決できる積極的な人であれば、男女も国籍も年齢も関係ない」と言い切る。

 こうした外国人の正社員採用について県国際課は「グローバル人材の活用は企業の力になる」と評価する。

 しかし、留学生の県内就職を支援する県の合同企業説明会に参加する企業は、例年10社程度。県内には大学、短大、高専だけでも800人を超える外国人留学生がいる中、「県内企業の事業内容がよく分からず、理系を中心に、有名企業の多い首都圏へ目が向いてしまう傾向がある」(県内大学関係者)という。県内就職には企業側のPRも求められている。

 今月27日には、宇都宮市内でグローバル人材向けの合同企業説明会がある。同課担当者は「まず企業を知ってもらうためにも気軽に参加してほしい」と話す。