高校生の就職環境が大きく改善した。28日、栃木地方労働審議会で報告された来春卒業予定の高校生の県内求人倍率は、2008年秋のリーマン・ショック後で最も高い水準となり、高校生側に有利な“売り手市場”に転じた。県内高校の進路担当教諭は「昨年は求人がなかった企業からも求人票がきており、明らかに環境がよくなっている」と話す。

 08年の8月末現在で1・31倍だった高校生の求人倍率は、リーマン後の09年に0・66倍に急落。東日本大震災後の11年には0・67倍と低迷が続いた。12年からはやや持ち直しが見られ、昨年は0・81倍だった。

 自動車部品製造のGKNドライブラインジャパン(栃木市)の担当者は「従業員の平均年齢が上がり、年齢構成にひずみがある。技能伝承や若返りのため、高校生の採用を増やす方針」と説明する。今春、5人を採用したが、来春は6人を予定する。「本当はあと2、3人採りたかったが、首都圏の大企業なども北関東をターゲットに採用活動をしており、競争率が高まっている」と同社担当者。争奪戦がすでに始まっているという。

 3年生の約4割が就職を希望する宇都宮商業高は、今春に比べ求人が約10%増えた。同校進路担当の黒川栄子(くろかわえいこ)教諭は「昨年まで採用を抑えていた企業が『ことしは確保しておかなければ』と、求人票を出すところもあるようだ」と指摘。9月16日に活動が解禁となって以降、85%ほどの生徒がすでに内定を得ているという。

 ただ、黒川教諭は「来春の採用で高校生は充足したとして、それ以降また求人を抑える企業があるのでは」と“反動減”を危惧する。「やはり経済が好調で、企業の業績が安定しないと困る。求人が出ないことには、生徒は希望する企業を受験することさえできない」と話し、政府の経済政策の効果が地方にも波及し持続することを期待する。