下野奨学会は、日本の将来を担う高校・高専生を応援しています。

公益財団法人下野奨学会
第65回下野奨学生の卒業作文集「さくら」から

 公益財団法人下野奨学会は栃木県の優秀な人材育成に貢献するため、経済的に厳しい環境にある県内高校・高専生に3年間、奨学金を給付し、就学を支援しています。

 2025年3月、県内高校を卒業した第65回下野奨学生23人の作文集「さくら」から、4人の作文を紹介します。

 奨学生のプライバシーに配慮するため、氏名や卒業高校名を匿名にし、文章の一部も変えています。

VOL.1「三年間で得た学び」 

県央地区県立高校卒業生(男子)

 高校生活を終え、今までのことを振り返ってみると、本当にいろいろなことがありました。男子校での男だけの環境を過ごし、学んだことがあります。

 一つ目は、「結束力」です。私は応援団に所属し、今年は応援団長として活動してきました。夏の野球応援やサッカー応援、学校祭での演舞披露など多くの行事を行いました。練習では練習に参加しない団員や、指導での方向性の違い、答えのない課題に悩むこともありました。そんな時こそ団員全員で話し合いました。どんな事でも自分たちで解決することで結束し、様々な困難を乗り越えました。つらい練習で何度も心が折れそうになったことはありましたが、結束力で乗り越えてきたことでメンタルと忍耐力が強くなりました。

 二つ目は、「逆境でも負けない心」です。応援団を引退してからは、一日中受験勉強に専念しました。周りも必死に勉強しているので、成績が伸びていると感じず、本当にこの勉強で大学に受かるのか、と不安になり、眠れない日もありました。そのような状態で挑んだ共通テストは結果は散々で、自己採点のときは顔が真っ青だったことを覚えています。また私立大学も全て落ちてしまい、本当に国公立に受かるのか、とても不安でした。

 しかし、先生方や両親の助けのおかげもあり志望校を決め直し、行きたい大学を受験することができました。そして、二次試験に向かって猛勉強し、皆さんの支えのお陰で無事合格を頂くことができました。この大変な受験生活を通して、「逆境でも負けない心」の大切さを知ることができました。

 楽しく、時には苦しい充実した高校生活を送ることをできたのは、家族、友人、先生方、そして下野奨学会のご支援のおかげです。本当にありがとうございました。

VOL.2「私の高校生活」

県北地区県立高校卒業生(女子)

 三月三日、「桃の節句」という良き日に高等学校を卒業しました。高校で過ごした三年間は、中学校の頃の三年間と比べるとあっという間で、とても早かったように感じます。

 高校に入学し、キラキラした高校生活を思い描いていましたが、現実は勉強の難しさと一日の授業の長さで、始めは青春を感じることもありませんでした。さらに、教室に入ると女子しかいない空間に、違和感しかありませんでした。中学校の時とは大きく異なる環境で、高校での生活になかなか慣れることができずに、悩むことが数多くありました。

 そんな時に私の事を救ってくれたのは、高校に入ってから仲良くなった友人たちでした。学校に行けば友達がいて、クラスが辛くても話をしているうちに気持ちが楽になりました。休日には遊びに行ったりもして、私にとって最高の友達です。

 高校三年間を通して思い出に残るのは受験勉強です。三年の夏休み頃に志望校の志望学科を決め、受験勉強を始めたのはその後からでした。普段よりも勉強し、家では集中できないタイプなので、学校の図書館やスタバで勉強していました。

 大学受験に面接があったので、学校の先生方にたくさん協力してもらい練習しました。十月の試験当日の手ごたえは、それほど強くなく不安でいっぱいでした。結果は不合格で、悔しくて何も考えられなくて、たくさん泣きました。

 多くの人に相談し、「あきらめるには、まだ早い」という一言で次の試験の勉強を始めました。十二月の試験はマークシート式だったので、ひたすら過去問を解きました。

 結果は第二志望合格で、とりあえず安心しました。たくさん相談に乗ってくれてアドバイスをくれた母の前で嬉し涙を流しました。母の「逃げても良いんだよ。やりたいようにやりな」という言葉を聞いて、ここであきらめてはいけないんだと心に決めて努力をして良かったと思っています。

VOL.3 「私の高校生活と今後」

県央地区県立高校卒業生(男子)

 先日、私は高校を卒業しました。この春からは企業に就職します。幼い頃から憧れてきた会社で働くことに、とても嬉しい気持ちと不安な気持ちで胸いっぱいです。

 振り返ると私の高校生活は楽しいことよりもつらいことのほうが多かったと感じます。ですが、そんなつらいこともクラスメイトとともに乗り越えてきた三年間でした。

 一、二年時は部活や資格取得に励み、日々多忙を極めていました。そして、三年になり今まで漠然と考えてきた進路を、明確に決めなくてはいけない時期になりました。

 入学当初は大学進学をしたいと思っていましたが、時が経つにつれ、大学進学への思いが弱まっていたのと、兄弟が多く、下の兄弟を養っていきたいという理由で、最終的に就職することに決めました。

 第一志望も決まり、将来に向かって頑張るぞという気持ちで、積極的に先生方と面接練習に取り組みました。しかし、本番では練習してきたことを全く発揮できず、結果は不合格でした。今まで試験に落ちるという経験があまりなかったこともあり、最初は人生で一番といっていいほど落ち込みました。今までの自分の努力だったりが、完全否定される感覚で学校にも行きたくない気持ちが続きました。ですが、そんな自分を親や友達が励ましてくれ、「人生はまだある、こんなとこで終わりたくない」、「今までの努力は無駄なんかじゃない」という気持ちが強くなっていき、塞がりきっていた自分を立ち直すことができました。そして、第一志望の経験を糧にして、無事第二志望に受かることができました。

 最後に、いろいろなことがあった三年間でしたが、今の自分があるのは下野奨学会の皆さまのおかげです。多大なるご支援をありがとうございました。これからも夢に向かって頑張っていきたいと思います。

VOL.4 「三年間を振り返って」

県南地区県立高校卒業生(女子)

 三月三日、長いようで短かった高校生活が終わりました。高校三年間は、勉強や部活動、ボランティア活動など、多くのことに挑戦し、自分を大きく成長させることのできた大切な時間でした。

 私が高校三年間で力を入れたことは勉強と部活動です。学習面では、大学受験に向けて、計画的に学習を進めることを意識し、分からない所は積極的に先生に質問に行くなど、日々努力を重ねました。時には思うように成績が伸びず、不安になることもありましたが、周りの人に支えられ、最後まで走りきることが出来ました。その結果、第一志望の国立大学に合格することができ、本当に嬉しく思っています。

 部活動では、コンクール上位入賞を目指すのではなく、自分達の思いを観客の方々に届けることを目標に努力してきました。時には、作詞をした方になりきったり、紛争地域で将来の夢について語る子供たちになりきるなど、たくさんの事を想像し、自分達の音楽に生かしてきました。想像する事が難しい時は、部員同士で調べ学習をしたり、東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市を訪問するなど、沢山の経験を通し、音楽にかえてきました。そして、より観客の方々に思いを伝えるため、発声や音の取り方も工夫し練習してきました。その練習は決して楽なものではなく、時には上手くいかないこともありましたが、部員同士で励まし合いながら努力し続けました。その結果、関東大会、全国大会に出場することができ、私の心に深く残る思い出となりました。

 最後になりますが、私が高校三年間様々なことに挑戦できたのは下野奨学会の皆様や、支援してくださった皆様のおかげです。大学では、高校生活で学んだ事を生かし、さらに成長し、いつか私も誰かを支える事のできる人になりたいです。ありがとうございました。