下野奨学会は、日本の将来を担う高校生を応援しています。
公益財団法人下野奨学会
第61回下野奨学生の卒業作文集「さくら」から
公益財団法人下野奨学会は栃木県の優秀な人材育成に貢献するため、経済的に厳しい環境にある県内高校生に毎月、奨学金を給付し、就学を支援しています。
2021年3月、県内高校を卒業した第61回下野奨学生21人の作文集「さくら」から、4人の作文を紹介します。
奨学生のプライバシーに配慮するため、氏名や卒業高校名を匿名にし、文章の一部も変えています。
VOL.1 「高校生活を通じて」
県北地区県立高校卒業生(女子)
この春、私は大田原女子高校を卒業しました。
今、三年間を振り返ると、あっという間に終わってしまった、という印象と、たくさんの人に支えられた三年間だった、という印象が強い気がします。
受験生となった三年生の学校生活は、新型コロナウイルスによる休校から始まりました。例年通りならば、学校の仲間とともに受験を意識した勉強が学校で出来ていましたが、家で一人で勉強することは容易ではありませんでした。六月から通常通りの登校ができましたが、受験に対する気持ちが二カ月遅れのまま月日は進んでいきました。授業はだんだんと共通テスト対策としての演習に変わっていき、共通テスト、国公立大学二次試験を迎え、卒業式となりました。
そして、私は高校一年生のころから変更することのなかった第一志望の国立大学に合格することができました。大学は都内にあり、オンラインと対面の授業が交互にあるため、大学生としても、例年通りとはいかない、異例のスタートを迎えそうです、ですが、自分が目標とし、努力の結果としてつかみ取った進路での学びはどんな形であれ、とても楽しみにしています。
後輩となる下野奨学生の皆さんも、大学受験を意識して勉強に力を入れている人は多いと思います。どんな不測の事態が起きても、勉強するしかありません。試験本番のとき、最後に自信となるのは、「自分はここまで一生懸命やったぞ」という気持ちだけです。受験をする方も、大学とは違う道に進む方も、悔いの残らない高校生活、そして、進路決定をしてほしいと思います。
最後になりましたが、下野奨学会の皆様には三年間大変お世話になりました。金銭面での支援はもちろん、毎月届く書類に添えられた手書きのメッセージも楽しみの一つでした。本当にありがとうございました。
VOL.2 「高校三年間を終えて」
県央地区県立高校卒業生(男子)
三月二日、在校生はオンラインで出席し、卒業証書は代表のみが受け取るという、いつもとは異なる状況ではありましたが、無事に卒業することができました。私の夢は医者になって、病気に苦しんでいる方々をお助けすることです。そのために理系に進み、日々勉学に精進してまいりました。振り返ると本当に充実した三年間でした。
入学したあの日を今でもはっきりと覚えています。誰も知り合いがいないという状況で、不安で仕方ありませんでした。しかし、クラスの皆さんは優しく、すぐに友人が出来ました。体育祭、文化祭、部活、合唱コンクール…。どれを取っても常に仲間がそこにいて、本当に楽しかったです。
こんなふうに楽しく過ごせたのは、下野奨学会の皆様や、寄付してくださった皆様のおかげです。受験の勉強が思うようにいかず、くじけそうになった時、ライバルの存在や、両親の存在、そして皆様の存在が私を奮い立たせ、全力で勉強に励むことができました。私は幸せ者だと思います。皆様本当にありがとうございました。
さて、私は高校を卒業し、新しい世界に足を踏み入れようとしています。また知り合いがいないという状況になるかもしれません。思うように勉学がうまくいかないかもしれません。不安で胸が押しつぶされそうになるかもしれません。それでも私は全力で突き進み、医師となって多くの人々をお助けしたいと思います。
なぜなら、皆様の存在が常に私に勇気を与えてくださっているからです。いつか、自分が一人前になったら、必ず奨学会に寄付をさせていただきたいと思います。今の私があるのは皆様のおかげです。
最後にくどいかもしれませんが、奨学会の皆様、寄付をしてくださった皆様、本当にありがとうございました。
VOL.3 「目標と決意」
県北地区県立高校卒業生(女子)
高校三年間を振り返ってみると、毎日小テストの勉強や授業の予習・復習に追われながらも、心優しい多くの友人に出会い、たくさん笑い合い、たくさんの困難を乗り越えてきた日々をとても懐かしく感じています。
その中でも、私の人生を大きく変えた出来事がありました。それは高校野球を見に行ったことです。
きっかけは、高校へ行っても部活動を頑張っている友人を応援したい、という本当に些細なものでした。当時はルールも少ししか知りませんでしたが、実際に試合を見ていると、スタンドにいる選手や保護者、ベンチにいる選手、プレーしている選手、指導者、マネージャーなど、誰一人欠けることなく全員で戦っている姿に胸が熱くなるのを感じました。
それを境に、年に何度か球場に足を運ぶようになりました。活躍する選手がいる反面、練習の成果を出せなかったり、脚がつってしまったり、思うようなプレーができず悔しい表情を見せる選手を何度も目にし、選手が百%の力を出せるようなサポートをしたいと考えるようになりました。
残念なことに、女子校に通っていた私に野球部のマネージャーをするという選択肢はありませんでしたが、いつしか高校球児をサポートすることが私の人生の目標になっていました。
新型コロナウイルスによる休校期間中に進路について自分と向き合い、どのような形で選手をサポートすることができるのかインターネットを使って調べていくと、食事から身体作りをサポートするスポーツ栄養士という存在を知りました。選手のスポーツ人生が輝かしいものになるよう、栄養の指導だけではなく、選手一人一人としっかり向き合い、精神面でもサポートできるようなスポーツ栄養士を目指します。
四月からは地元を離れ、愛知県の大学に進学します。不安なことばかりですが、自分で決めたことであり、それを応援してくれる家族や友人がいることへの感謝の気持ちを忘れず、目標に向かって努力し続けたいと思います。
VOL.4 「感謝」
県央地区県立高校卒業生(女子)
友達ができるか不安に思い、ドキドキしながら教室に入ったあの時からもう三年も経とうとしている時間の流れの早さに、驚きを隠せません。それだけ充実した三年間が過ごせたということだと思います。
何もかもが初めてで、新鮮だった一年生。春のスポーツ大会、文化祭、球技大会、どれもとても楽しかった記憶があります。年をとって、おばあちゃんになっても会いたいねと言い合えるような、一生の友達もできました。
ボランティア活動に夢中になった二年生。一年生の時から、宇都宮リーダースクラブという団体に所属して、キャンプやドッジボール大会などの子ども会の行事のお手伝いをしていました。
毎週集まり、打ち合わせを重ねて準備したり、レクリエーションの練習をして、その結果子どもが「楽しかったよ」と言ってくれた時は、涙が出そうになるほどうれしかったです。宇都宮リーダースクラブの活動を通して得た経験は、間違いなく将来に役立つと思います。
初めての大学入学共通テストや新型コロナウイルスなど、不安が大きかった三年生。楽しみにしていた最後の学校行事が中止になり、肩を落として迎えたスタートでした。しかし、担任の先生を含めクラス全体で受験に挑み、辛い受験勉強も乗り越えることができました。
私が、勉強や部活動、ボランティア活動に打ち込むことができたのは、家族、友人、先生方、下野奨学会の皆様、寄付してくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
大学入学後も、たくさんの方々に支えられて勉強ができていることに感謝を忘れず、頑張りたいと思います。これまで学んだこと、そしてこれから学ぶことを生かし、社会に貢献できる大人になることがお世話になった方々に恩返しできることと信じて、精進してまいります。