
厚生労働省が31日発表した2022年平均の有効求人倍率は、前年比0・15ポイント上昇の1・28倍で4年ぶりに改善した。新型コロナウイルス禍で下落が続いたが、社会経済活動が本格的に動き出したことを反映した。ただ、コロナ禍の影響を受ける前の19年(1・60倍)の水準には至っていない。
総務省が同日発表した22年平均の完全失業率は前年から0・2ポイント低下の2・6%で、改善は4年ぶりとなった。完全失業者数は179万人だった。加藤勝信厚労相は記者会見で、現在の雇用情勢について「求人の回復が遅れる産業もあるなど、一部に厳しさがみられるものの、緩やかに持ち直している」と述べた。
有効求人倍率は求職者1人当たりの求人数を表す。コロナ禍で20年平均は1・18倍まで落ち込み、21年は1・13倍だった。
完全失業率はコロナ前の19年は2・4%で、20年は2・8%まで悪化し、21年は横ばいだった。
総務省によると、22年平均の就業者は6723万人。産業別では「宿泊、飲食サービス業」に就業する人の落ち込みが目立つ。コロナ禍前の19年は421万人だったが、22年は381万人まで40万人減少した。
両省などによると、宿泊業は政府の全国旅行支援などにより回復基調が鮮明である一方、飲食サービス業は団体客による利用が戻っていないという。人件費削減のため事業者側が雇用を抑えている可能性がある。