厚生労働省は21日、都道府県ごとに決める2020年度の地域別最低賃金について、全国の改定額を公表した。中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)は7月、「現行水準維持が適当」として引き上げの目安を示さなかったが、40県の地方審議会が1~3円引き上げた。全国平均の時給は現在より1円増の902円となった。10月から順次適用される。

 

 最低賃金は16年度から4年連続で年率3%以上の大幅引き上げが続いてきたが、新型コロナウイルスの影響で足踏みした。一方、40県がわずかながらも引き上げに踏み切ったのは「最低賃金の水準が低く、生活するので精いっぱい」といった労働側の意見が重視されたことが背景にあるとみられる。

 厚労省によると、3円引き上げたのは徳島など9県、2円が鳥取など14県、1円が本県や宮城など17県だった。東京や大阪、広島など7都道府県は据え置いた。

 改定額は16県が700円台、本県など23道県が800円台、6府県が900円台、東京都と神奈川県が千円台となった。東京都の最高額1013円と沖縄などの最低額792円との差は221円となり、昨年度より2円縮小した。

 中央審議会は例年、地域を経済情勢などに応じてAからDの4ランクに分け、それぞれの引き上げ額の目安を提示。ただ今年の審議会はリーマン・ショック後の09年度以来、11年ぶりに目安を示さなかった。

【解説】都市部と地方 対応二極化

 2020年度の最低賃金を議論する都道府県審議会では、東京や大阪など大都市部を中心に7都道府県が据え置いた一方、秋田や沖縄など主に地方の40県は1~3円引き上げた。大都市部と地方の対応が二極化した格好で、地域間格差はわずかに縮まった。しかし依然として200円以上の差がある状況が続く。

 格差拡大のきっかけは2007年の最低賃金法の改正だ。最低賃金が生活保護を下回る「逆転現象」の解消を促した結果、14年度に全都道府県で逆転はなくなった。ただ07年度は最高額と最低額の差が121円だったが、20年度は221円となり、約1・8倍に拡大した。

 中央最低賃金審議会は7月、「現行水準維持が適当」と答申した。にもかかわらず、今回地方が自主的な引き上げに踏み切ったのは、最低賃金を低く抑えたままでは大都市部への人口流出が止まらないとの危機感の表れと言える。

 政府は早期の全国平均千円への引き上げを目指すとの方針を堅持している。賃上げをこのまま地方の自主性だけに任せてはならない。

 新型コロナウイルスで打撃を受ける中小企業に対し、政府は雇用を守るとともに、助成拡充など賃上げにつながる支援が求められる。