宇都宮市が2022年3月の開業を目指し、整備を進める次世代型路面電車(LRT)。車社会の米国内でも導入が進んでいる。5月下旬、同国ミズーリ州カンザスシティーとミシガン州デトロイトを約1週間にわたり訪れた。それぞれの市では、ストリートカーと呼ばれるLRTが市中心部を走る。カンザスシティーは「KCストリートカー」を基軸にスマートシティー化の施策が進行中だ。財政破綻を経験したデトロイトは、復興に伴う再開発が進むメインストリートを「Qライン」が往復する。現地の様子を写真で紹介する。

カンザスシティー

目抜き通り

カンザスシティーのLRTであるKCストリートカーの軌道は、南北を結ぶ「メインストリート」上にある。高層ビル群を背景に起伏のあるコースをストリートカーが走っていた=5月20日

キオスク端末

ストリートカーの停留場に設置されているキオスク端末(左)。タッチパネル画面で沿線の観光スポットや飲食店情報を調べられるほか、災害時には市が緊急情報を表示するなど多くの役割を果たす=5月21日

気軽に乗って

大きな窓で明るい雰囲気のKCストリートカー車内。運賃が無料のため何度でも気軽に乗り降りできる=5月20日

シェアバイク

ストリートカーの停留場に設置されたシェアバイクスタンド。スマートシティー化の一環として整備され、公共交通網を補う移動手段となっている=5月21日

バスと車と

停留場に止まったストリートカーの後方交差点を路線バスが横切った。沿線には乗用車の駐車場とバスや鉄道との乗り換え場所が整備されており、公共交通網を使って街中をスムーズに移動できる=5月21日

旗振り役

ストリートカーを軸としたスマートシティーづくりを推進するスライ・ジェームズ市長。スマートシティー化の恩恵は、観光や経済、防災など多方面に及ぶ=5月20日

街中走る

カンザスシティー市役所の屋上から市中心部を見下ろした。ストリートカーが通りを走り抜けていく=5月20日

夜のにぎわい

メインストリートは、平日の午後9時半を過ぎても人通りが絶えない。通りを照らすストリートカーが夜のにぎわいの一助となっている=5月21日

カンザスシティー

(ミズーリ州)

【人口】約49万人
【面積】816平方キロメートル
【メモ】

  • ジャズの街として知られ、40軒以上のジャズクラブがある。また、バーベキューも有名で、人口当たりのバーベキューレストラン数は、アメリカの都市の中で第1位。
  • MLBチーム「カンザスシティーロイヤルズ」の本拠地。日本人では青木宣親選手が在籍したことがある。2015年にワールドシリーズで優勝。


【KCストリートカー年譜】

1997年 住民投票でLRT計画否決。LRT計画を巡る住民投票は、2008年までに9回行われた。
2012年 LRT計画の全ての政治手続きが完了。
2014年 5月、工事に着手。
2015年 秋、工事完了。
2016年 5月、開業。
2019年 4月、乗車600万人達成。

 

 

デトロイト

復興のシンボル

人の行き交うデトロイトのダウンタウン地区を走るQライン。財政破綻からの復興のシンボルの一つであり、カラフルな車体が街に活気をもたらしている=5月22日

自動運転

自動運転電気自動車がデトロイト中心部の通りを走る。車両は「メイモビリティ社」製で、地元企業の社員を送迎している=5月23日

シェアスクーター

デトロイトのダウンタウン地区でシェア電動スクーターに乗る若者たち。スマートフォンの専用アプリを使ってその場で利用でき、乗り捨て可能という手軽さが人気を呼んでいる=5月22日

再開発

デトロイト中心部で工事中の建造物。デトロイト市財政破綻後の2014年ごろから巨額投資による再開発が進んでいる=5月23日

デトロイト

(ミシガン州)

【人口】約67万人
【面積】359平方キロメートル
【メモ】

  • 五大湖沿岸で発展した工業都市の一つ。自動車産業都市として発展し、「モーターシティー」と呼ばれた。自動車メーカー「ゼネラルモーターズ」の本社がある。
  • 同市を本拠地とするプロスポーツチームが四つある。MLB「デトロイトタイガース」、NBA「デトロイトピストンズ」、NFL「デトロイトライオンズ」、NHL「デトロイトレッドウイングス」。

【Qラインの年譜】 

2006年 LRT計画が持ち上がる。
2013年 デトロイト市が財政破綻。
2014年 本格工事に着手。
2016年 工事完了。
2017年 5月、開業。


 

 

 【ズーム】5G 第5世代移動通信システムのこと。通信速度は現行の4Gの約100倍とされ、4Gにはない「低遅延」「多数同時接続」が可能となる。わずかな時間のずれが致命的な事故を引き起こしかねない自動運転技術や、遠隔医療などへの活用が見込まれる。また、無数の機器を遠隔操作し、さまざまなデータの収集が可能になる。日本では今春、5Gの電波がNTTドコモなど4社に割り当てられ、年内に一部で5Gの試験運用が始まる。本格的サービスは来春から順次展開される見通し。

 【ズーム】スマートシティー IoT(モノのインターネット)の先端技術を駆使した都市のこと。例えば、交通量や事故の発生を検出し、信号の切り替えを行ったりすることで渋滞緩和につなげたり、電力不足が予測される場合、余ったエネルギーを効率的に供給したりする。都市部への人口集中が進む中、環境問題や電力・エネルギー不足への対応、生活の質の向上策として、世界各都市でスマート化の取り組みは進められている。