スマートシティーの象徴ともいえるキオスク端末。タッチパネルを操作すると周辺の飲食店や観光情報などにアクセスできる=5月21日、カンザスシティー

 キオスク端末はスマートフォンを巨大にしたような、自立式の情報機器だ。カンザスシティーのストリートカー(次世代型路面電車=LRT)停留場などに配備されている。

 画面の左側に並ぶのはジャンル別アイコン。これにタッチすると市内のレストランや観光スポット、市政情報などが出てくる。ストリートカーの運行状況もリアルタイムで確認できる。

 誰もが自由に、無料で操作できる端末。観光客らと市をつなぐツールの一つといえる。

 皆既日食が北米大陸を横断した2017年8月21日、同市の公設市場シティーマーケットは世紀の瞬間を共有しようと集まった6千人もの人出でにぎわった。ミシシッピ川最大の支流ミズーリ川にほど近く、舟運で栄えた歴史的地区に位置する同マーケット。ストリートカーの停留場もある。

 「皆既日食を見るには、市周辺も絶好のロケーションとの情報があり、急きょイベントを企画した。準備期間は短かったが、大勢の人が来てくれた」。シティーマーケットで販売促進事業を手掛けるスー・ピーターソン部長は「キオスク端末での情報発信も大いに役立った」と声を弾ませた。

 スマートシティーの象徴ともいえる同端末は、ストリートカーの停留場建設に合わせて市などが整備した。別の機関による配備も進むが、市が関わるのは計25台。軌道の下に埋設された光回線でつながっている。

 運営を担うのはニューヨークに本社を置くIoT(モノのインターネット)関連会社のスマートシティーメディア。「官民ともにイベントや観光案内といった情報発信ができるほか、周辺のレストランなどが広告を出すこともできる」。市幹部職員から同社市民活動担当に転身したボブ・バーネットさんは解説した。日本語、ドイツ語、中国語など多言語翻訳機能もある。

 整備費は市と同社が半分ずつ負担した。一方、広告収入があれば同様に折半する。どの端末に、どれくらいの期間や頻度で広告を出すか、依頼主は効果を踏まえて選択できるという。

 「スマートフォンでも情報は得られる。しかし、この端末を使えばハイパーローカルな情報に容易にアクセスできるし、発信もできる」。バーネットさんは、地域に密着した情報ツールとしての魅力を強調する。

 高さ約180センチ、夜でも目につくデジタル端末。「子どもが行方不明」といった緊急事態や災害の発生時にも威力を発揮する。警報を鳴らしたり、市民が電話代わりに連絡したりすることも可能だ。人の移動や情報へのアクセス状況を捉え、次なる対応に生かせるセンサーも内蔵している。

 未来の街を展望し得るキオスク。バーネットさんは「広告収入はスマートシティーの形成にも生かされる。ビジネスの好循環に役立っている」と指摘した。