「新しき日本のかたち」 自民党元幹事長 加藤紘一氏

下野新聞社など主催の「しもつけ21フォーラム」特別政局講演会が九日、宇都宮市内のホテルで開かれ、自民党の加藤紘一元幹事長が「新しき日本のかたち」と題して講演した。世界屈指の経済大国に発展しながら幸せを実感できない原因は、明治以降“国是”となった「競争」にあると述べ、日本古来の自然崇拝や地域社会をもう一度大切にすることが解決の道ではないかと訴えた。

加藤氏は、欧米諸国の軍事力と豊かさに追いつこうとした結果、「日本は必要以上に競争社会になった」と分析。その上で「一番かわいそうなのが子どもの教育。いずれの競争もいつまで続け るのか」と問題提起した。

さらに夏目漱石の代表作「三四郎」を取り上げ「今から百年前、ロンドンに留学もした漱石は世界と日本を見比べ、明治維新で何かを得たと同時に何かを失ったと警鐘を打った。一世紀たって、われわれはそれを考えないといけない」と述べた。

七年前、パレスチナを訪問し自然と言えば太陽しかない砂漠に立ったという加藤氏は、その地で生まれたキリスト教やイスラム教などが一つの神しか認めない背景を認識したと説明。それが、黒船来航以来日本に及んだ同一価値観による競争のベースにあるとした。

それに対し日本は「すべてを神にして、豊かな自然と和していこうと助け合って生きてきたのが倫理の始まり。その倫理を壊したのが間違い」と指摘。その上で「中国にもアメリカにもない個性のある国にできた時、日本の青年はこの国にプライドを取り戻すのではないか」と結んだ。