経団連が9日、大手企業の採用面接などの解禁日を定めた指針を、2021年春入社の学生から廃止することを正式決定したことを受け、県内の学生や企業から不安の声が出ている。

 学生の就職活動を支援する大学側は戸惑いを隠せずにいる。宇都宮大キャリア教育・就職支援センターの担当者は「ルールが無くなると学生が混乱するだろう。学生は本来学ぶため大学に来ている。就活第一になって教育が十分に確保できなかったら困る」と話す。

 同センターは現行のルールを基に就職ガイダンスなどのスケジュールを組んでいるが、今後はその日程の変更も視野に入れている。

 就活ルールの廃止は現在の大学2年生から対象となる。小山市宮本町2丁目、白鴎大経営学部2年橋本裕貴(はしもとゆうき)さん(20)は「会社説明会や面接の開始時期が会社によって違うので、その都度、調べなくてはいけないのか」と不安を見せる。

 県内経済界からも先行きを懸念する意見が出ている。エンジニアリング商社の藤井産業(宇都宮市平出工業団地)の大久保知宏(おおくぼともひろ)取締役は「大手が無制限に走りだすことになるのではないか。県内企業などはさらに早めに動きださないといけなくなり、不安に感じる」と打ち明けた。

 スーパーのかましん(宇都宮市ゆいの杜1丁目)の若井禎彦(わかいよしひこ)社長も「面接などをいつ解禁しようとも、人気だったり、大手だったりする企業から採用が決まる」と訴え、「ルールはあった方がいい。『売り手市場』などに流されず、腰を据えて働く人材の育成も求めたい」との見解を示した。

 「これまで以上に大企業が優位になることは目に見えている」と予測するのは県商工会議所連合会の関口快流(せきぐちかいりゅう)会長。「人手不足が深刻化する中、中小企業はますます優秀な人材の確保が困難になる。中小・小規模企業が適正な経済活動を行っていく上で大きな障害にもなる」と指摘した。