県内の民間企業で働く障害者の割合(障害者雇用率)は2022年6月時点で2・38%となり、11年連続で過去最高を更新したほか、25年ぶりに法定雇用率2・3%を上回ったことが4日までに、栃木労働局の調査で分かった。全国平均は2・25%。本県の都道府県別順位は20位で前年から8位上がった。同労働局は「これまでの地道な支援の結果」とみるほか、企業の価値観の前向きな変化を指摘する。一方、未達成の企業も4割以上あり、同労働局は啓発活動を継続していく。

 同労働局によると、調査は従業員43・5人以上で、本社が県内にある計1361社が対象。働いている障害者は前年比6%増の計5515・5人で、19年連続で過去最高を更新した。障害別では、身体が1・3%増の3069人で最も多い。知的は10・1%増の1449・5人、精神は16・7%増の997人だった。

 産業別の雇用率は医療福祉が3・41%で最多。製造業が2・38%、サービス業が2・32%と続いた。

 法定雇用率を上回った企業は前年比4%(30社)増の773社で、全体の56・8%だった。

 同労働局によると、25年前の1998年頃はバブル崩壊後の景気低迷で、法定を下回る雇用率が続いた。法定雇用率は1976年に1・5%となって以降、度々引き上げられた。企業側からは「任せられる業務がない」など消極的な声もあり、法定雇用率の達成が長年の課題だった。

 障害者の就業支援を巡っては、同労働局や県、県が委託する県内6カ所の「障害者就業・生活支援センター」などが連携し、合同説明会や就業体験などに取り組んできた。県南で同センターを運営する社会福祉法人せせらぎ会の担当者は「包括的な支援が雇用率を押し上げた」と指摘する。

 障害者を積極雇用する紙加工品製造業「ヘイコーパック」(芳賀町)の鈴木健夫(すずきたけお)社長(66)は、25年ぶりの法定雇用率超えを「障害者と働く意義に気付く企業が増えてきたのだろう」と受け止めた。

 一方、法定雇用率を満たさない企業は前年比2・4%減の計588社で、347社は障害者を雇用していない。