本県の有効求人倍率が5年6カ月ぶりに1倍を下回る低水準となった1日、関係者の間に驚きや不安、危機感が交錯した。新型コロナウイルスの感染拡大で先行きが見えない中、労働者、雇用者ともに雇用の維持確保への懸念が増している。

ハローワークで順番待ちをする求職者たち=1日午後、宇都宮市

 新型コロナの影響を求職者は実感しつつある。

 ハローワーク宇都宮を訪れていた宇都宮市の女性(51)は、派遣社員として長期間働ける職場を求めている。しかし派遣会社からは半年や1年といった期間の仕事の紹介はなく「コロナの影響なのかな」と感じている。

 同市の男性(53)は感染が拡大しつつあった3月から「求人が少なくなってきた」と振り返った。「最近はもっと厳しく日に日に不安が大きくなっている」と打ち明けた。

 企業も苦しい状況に直面している。同市の自動車部品製造会社は、コロナ禍に伴う各自動車メーカーの業績の影響を受け、20%減の操業調整が続く。力を入れてきた高卒採用について幹部は「来年は無理して採用しない」と話した。

 別の自動車部品製造会社も、依然として経営環境は厳しい。雇用調整助成金の特例措置延長で、派遣を含め社員の雇用維持に全力を尽くしている。「来年の新卒採用をゼロにはしないが、中途採用には消極的にならざるを得ない」と明かした。

 「半年前まで人手不足だと困っていたのに。180度環境が変わった」。県経営者協会の石塚洋史(いしつかひろふみ)専務理事は、有効求人倍率の1倍割れに衝撃を受けた。「(企業は)今雇用している人を維持しているのが精いっぱい。今後、雇用を支えきれなくなる事態が広がらないか心配だ」と話した。

 県内最大の労働者団体、連合栃木の吉成剛(よしなりつよし)会長も「非常に危機感を感じている。流れはすぐには止まらない」と口にした。県や栃木労働局、経済団体などの10機関・団体で8月、とちぎ雇用維持確保・テレワーク等推進会議が発足した。吉成会長もメンバーで「しっかりタッグを組んで県全体の雇用を守るために引き続き連携していく必要がある」と訴えた。